生コンクリート打設は、一大イベントではないでしょうか。
計画から準備、そして施工と、どれをとっても疎かにはできません。実際、現場で“今日は生コンの打設”となると緊張するものです。予定通りに生コンの打設が完了しても、なぜか仕上がりが思ったようにならないこともあります。生コンの打設は、養生期間が終わって型枠を脱型するまで成功したのか失敗したのかが分かりませんが、失敗してもよほどのことがない限り修正できるので安心してください。
コンクリート工事の代表的な失敗例として、
などが挙げられます。
今回は「1.ひび割れが入る」「2.ジャンカが入る」「3.天端の高さが違う」の3つの原因と予防策・回避策についてご紹介したいと思います。
打設完了時からの養生の仕方が悪いと、ひび割れしてしまうことがあります。
など、天候には十分に注意しなくてはいけません。
休みの前日に打設して、次の日の散水を忘れたりすることもあります。養生のために休日出勤しなくてはいけないのですが、良いものを作るためには休みも返上しなくてはいけないのかもしれませんね。
打設完了後は、暑い時は養生シートで覆って保水状態を保ち、直射日光を当てない。寒い時は暖房を入れ、コンクリートの表面が乾燥しないように適宜散水するなど、養生時の温度管理が重要です。また、必要以上に温度が高くても失敗するので注意が必要です。
コンクリートのひび割れを起きにくくする予防策としては、「コンクリート用膨張材」や「乾燥収縮低減剤」を使用するということが挙げられます。生コンクリートに混ぜることによって、収縮変形を抑制し、乾燥収縮などのひび割れの発生を低減することができます。
また、型枠を外した後でコンクリート表面に塗布する「高性能塗布型収縮低減剤」もあります。ひび割れが心配なら、施工時にひび割れ対策を合わせて行うのが得策かもしれません。いずれにしても担当の監督に了承してもらう必要があると思いますが、費用はみてくれないかもしれません。
生コンを投入後、電動バイブレーターを十分にかけて空気を抜きますが、ジャンカが入るのは主に打設時の、振動バイブの掛け方が不十分なことが原因だと思われます。生コンを投入する速度が速すぎると、バイブを掛けるのが遅れて生コンの気泡がうまく抜けず、ジャンカになると思われます。
予防策としては、打設経験が豊富な信頼できる作業員を配置するということが挙げられます。
バイブレーターの掛け方が足りているのか不足しているのかということは経験でしか分かりません。また打設する箇所によって、電動バイブレーターの大きさも丁度良いものかどうか検討しましょう。建物の壁など打設時には、壁用の電動バイブレーターを用意します。
仮にジャンカが入り、表面がアバタになった場合は、補修材を使って左官で修正ができます。また深くえぐれた場合は、型枠を取り付けて、無収縮モルタルを流し込んで修正します。監督によっては、無収縮モルタルの強度試験をするように求められることもあります。私も自分で供試体を取って、コンクリート工場の試験室で無収縮モルタルの強度試験を行ったことがあります。きちんとした水量を入れてかき混ぜ、時間など所定の方法で行っていれば、必要な強度は得られるので問題ありません。
インターロッキングの下地や縁石ベース、またはマンホール底盤の基礎コンクリートなどは設計の高さが決められています。インターロッキングや縁石ベースは、高さ調節に砂を15~20mm入れます。10mmほどの多少の高さの違いであれば修正可能です。しかし、高さが20mm以上違うと上物のインターロッキングや縁石が付けられません。
天端の高さが違った場合、修正するには、電動ピックで高い分を斫る方法しかありません。決められた高さに打設するために丁張をかけるのですが、測量時に丁張を間違えたことから起きるのです。天端の高さが違うという失敗をしないためにも、打設する前に、検測して丁張に間違いがないか確認することをお勧めします。
少人数で、限られた時間で施工すると間違いに気が付かないことがあります。また、左官工の能力が劣っていると、打設後に表面を均して仕上げる際に平らにならず、腹が張ったタイコ状態になってしまうこともあります。インターロッキングなどの広い面の施工では、丁張の間隔が広すぎて高さがよく分からないこともあります。
コンクリート工事での仕上げ面は、制作するモノによって違ってきます。そのため施工は、制作するモノにあった左官工事ができる作業員にさせなければいけません。縁石ベースやインターロッキングの面は左官工事ができる作業員で十分ですが、建築工事の土間やタタキ部分、屋根などは建築専門の腕の良い左官職人に施工させるのがよいでしょう。
次回は、「④試験体の強度不足」「⑤打ち継ぎの失敗」「⑥鉄筋かぶりが取れない」の3つについてお伝えしたいと思います。
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