今年の夏は凌ぎやすいかと思いきや、一転して最高気温40℃にも達する酷暑を迎えました。40℃と言えば、人間の体温を越えた気温。黙って日向に立っていても、目がくらんで意識が遠のいてしまう温度でしょう。私自身が体感した気温は36℃なので、想像することも出来ません。
土木工事に携わる方なら、天気予報のチェックは欠かさず行っていることかと思います。前日の夕方6時ごろのテレビニュースは必ず確認しているハズ。残業で見逃した場合は、朝の天気予報でチェックしていることでしょう。大体は「雨が降らないか」「降水があっても短時間で済むのか」「朝だけ降るのか」「夕方からずっと降るのか」といった、雨の確認が多いことでしょうね。
野外作業が主な土木現場では、天気に左右されて、雨降りでは中止にしなくてはいけない作業があります。掘削や舗装などは多少の雨でも出来ますが、大雨ではさすがに作業中に災害となる危険があるので中止にしなくてはいけません。
雨天は出来ない作業がある一方で、気温では出来ない作業はほとんどありません。そんなことから、熱中症をおこしそうな気温でも作業を中止することはほぼありません。
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熱中症は、梅雨明けや、前日涼しくていきなり気温が上がる日、熱帯夜で寝不足となり身体が不調な時などに引き起こしてしまいます。
環境省の熱中症予防情報サイトの「日常生活に関する指針」と「運動に関する指針」が下表です。
温度基準(WBGT) | 注意すべき生活活動の目安 | 注意事項 |
危険(31℃以上) | すべての生活活動でおこる危険性 | 高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 |
厳重警戒(28~31℃※) | すべての生活活動でおこる危険性 | 外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。 |
警戒(25~28℃※) | 中等度以上の生活 活動でおこる危険性 | 運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。 |
注意(25℃未満) | 強い生活活動で おこる危険性 | 一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。 |
※(28~31℃)及び(25~28℃)については、それぞれ28℃以上31℃未満、25℃以上28℃未満を示します。
日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」(2013)より
気温(参考) | 暑さ指数(WBGT) | 熱中症予防運動指針 | |
35℃以上 | 31℃以上 | 運動は原則中止 | 特別の場合以外は運動を中止する。特に子どもの場合には中止すべき。 |
31~35℃ | 28~31℃ | 厳重警戒(激しい運動は中止) | 熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。 10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う。 暑さに弱い人※は運動を軽減または中止。 |
28~31℃ | 25~28℃ | 警戒(積極的に休憩) | 熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する。激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。 |
24~28℃ | 21~25℃ | 注意 (積極的に水分補給) | 熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。 |
24℃未満 | 21℃未満 | ほぼ安全 (適宜水分補給) | 通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である。市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。 |
※暑さに弱い人:体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など
(公財)日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2019)より
仕事では、30℃以上であっても作業中止に出来ないところがほとんどではないでしょうか。
最高気温40℃にもなったところでは、さすがに作業を中止にしたのでしょうか。人的被害を考えれば、大雨と同じくらいの災害に当たるので、作業を中止にしても何ら問題ないと私は思います。
先日は最高気温が32℃にもなり、さすがに私も頭がぼーっとして、体の具合もよくなかったので熱中症になる寸前だったのかもしれません。
一般的には、「涼しい服装」と「日差しを避ける」とありますが、野外作業の土木工事でこれを実践するのはかなり難しいことです。
常に怪我の危険がある土木作業で、涼しげなTシャツのみで作業は出来ません。公道上の作業であれば、長袖シャツに安全チョッキを着なくてはいけません。さらに足元は、安全靴や長靴で防護しています。涼しいサンダルでの作業は望めず、頭には重たいヘルメットも必ず被らなくてはいけません。まぁ、土木工事では涼しげなスタイルでの作業は絶望的なことになっています。
エアコンが完備されている作業車や重機に乗っているのであれば快適な作業が望めますが、常に表に立っている作業員や現場監督が暑さで大変なのは言うまでもありません。
数年前から、熱中症対策グッズが詰められたバックが会社から支給されています。中身は、冷却スプレー、叩くと瞬時に冷える保冷パック(30分ほど冷たさを持続、使用後は冷蔵庫に入れて保冷剤として利用可能)、温度計などです。熱中症になりそうな日の休憩時間や、暑さで具合が悪くなった作業員に支給されます。
冷却スプレーや保冷パックは気休めですが、少しでも涼しい気分になれば、大変な環境でも頑張れるものです。
熱中症になるか、ならないかは個人の体調にもよるので、作業中でもこまめに水分を取ったり、塩分補給のキャンディーなどを口にするよう、心がけるべきなのでしょうね。
「熱中症予防情報サイト」環境省
https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php
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