2019年11月に、東京オリンピックのマラソンと競歩競技が札幌開催に急遽決まりました。東京都民は、「なぜ?」と疑問に思われたことでしょう。東京オリンピックは、夏真っ盛りの7月下旬から8月上旬に行われます。近年の東京が殺人的な酷暑であることから、より涼しくてマラソンに適した札幌が選ばれました。まさに寝耳に水の札幌市民。夏のオリンピックが自国開催されるのが千載一遇のチャンスなら、その競技が地元で開催されるのも、まさに夢に見る思いです。
地元札幌でオリンピックのマラソンが実施されるのであれば、いくら出不精の私でも家族そろって沿道へ赴き、選手の熱き戦いに是非とも声援を送りたいと願っていました。しかし、世界的に広がる新型コロナウイルスの影響で、東京オリンピックは1年の開催延期になりました。とても残念ですが、こんなご時世ですから致し方ありません。まさに、世の中一瞬先は闇。何が起こるか分からないと肝に銘じておくべきでしょうね。
東京オリンピックのマラソンと競歩が札幌開催に決まり、コース選定がようやく終わったのは12月です。マラソンコース整備の工事が発注されるのではないかと予想していましたが、やはり思惑通りにでました。
「でました」というのはつまり、札幌市の公共工事の入札案件に出されたということです。工事は、マラソンコースになっている市道の舗装改良工事で、一般的にはオーバーレイと呼ばれる現況の舗装面を切削して、新たな舗装を実施する工事になります。最近の公共工事は電子入札なので、入札金額は1円単位でピタッと合わなければ落札できません。
日夜、鍛錬を積み重ねた我社の積算部員が見事に落札しました。ただ、入札金額が当たっても複数の会社がある場合はくじ引きで決めるため、くじ運もなければいけません。まぁ、そんなことでオリンピック特需とでもいうべき物件を1件ゲットできたのはラッキーでした。
マラソンコース整備の工事担当は、私ではありません。しかし、同じ会社の同じ部署に机を並べていることから、色々なことが絶えず漏れ伝わってきます。工事着工は3月下旬、工事完成引き渡しが5月末となっていましたが、新型コロナウイルス対策で4月上旬まで現場着工が延期されました。さらに東京オリンピックが1年間の延期となったことから、工期が半月ほど延長されました。また当初は必要最小限のオーバーレイ工事だったのが、設計変更となり追加の工事が、かなり増えそうです。
監督側も上層部からの指示で、どのように対処していいのかハッキリ定まりません。現場担当者も、どうやって工程を組んだらよいものかかなり悩んでいるようです。
通常のオーバーレイ工事は、
が基本となります。これに歩道部分一部舗装替え・取り付け道路の舗装・巻き込み部の切削・オーバーレイ・ガードレールの交換新設等となっています。
マラソンコース整備のオーバーレイ工事は、工事期間が限定され工期が短いため発注当初は1.2.3の必要最最低限の工事で発注されたようです。しかし、オリンピック開催が延期されたため設計変更となり、どうやら通常の工事と変わらないようになりそうです。
私は札幌市の下水道関連工事で、MH修繕工事・桝取付管修繕工事を担当しています。オリンピックのマラソンコース整備工事区間が始まる前に、桝取付管修繕工事を3月に施工していました。通常、年度末の3月に行われる工事で1・2か所ですが、マラソンコース整備工事の関係で10か所も出されて除雪業務と桝取付管修繕工事の掛け持ちで大変でした。さらにマラソンコースのMH修繕工事もこれからあるようです。
オリンピック開催が1年延期となったので、さらにマラソンや競歩コースの整備工事が追加されるかもしれません。いずれにしても土木業者にとってはうれしいオリンピック特需です。
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