過不足なくアスファルト舗装合材を取るための知識(舗装合材の重量の計算方法とプラントへの搬入までの流れ)

  • LINE

前の記事   次の記事


舗装する際には、面積と厚さに応じた舗装合材(舗装材)を舗装プラントから搬入します。そこで今回は、過不足のない舗装合材の取り方を話しましょう。


過不足のない舗装合材の取り方


舗装は決められた枠の中を舗装するため、「延長」「幅」「厚さ」の寸法が必要になります。これが大規模な道路舗装工事であれば、何百メートルの施工距離にもなるでしょう。反対に水道の維持工事などの場合は、1メートル×1メートルの舗装復旧からあるわけです。

舗装合材の体積は、舗装する面積(延長×幅)と舗装の厚さを掛ければ出てきます。さらに舗装合材を搬入するには、舗装合材の体積に2.3(舗装合材の比重)と、余盛分の係数1.08を掛ければ実際に必要な舗装合材の数値が出てきます。


舗装合材の重量の計算方法


舗装する面積=延長×幅
舗装合材の体積舗装する面積×舗装の厚さ
舗装合材の重量=舗装合材の体積×2.3(舗装合材の比重)×1.08(余盛分の係数)


問題1

延長=5m、幅=2m、厚さ=5cmの舗装合材の重量


回答

舗装する面積
5m×2m=10m2
舗装合材の体積
10m2×5cm → 10m2×0.05m=0.5m3
舗装合材の重量

0.5m3×2.3=1.15t

1.15t×1.08=1.242t

舗装する面積から電卓で求めると「5×2×0.05×2.3×1.08=1.242t=1.2t」となります。計算するときは単位を合わせて計算します。5cmは0.05mです。

必要な舗装合材の重量が分かれば、舗装プラントから現場へ搬入します。量が多ければ、10tダンプを頼んだりしますが、少量の場合は4tダンプで取りに行きます。

舗装プラントにもよりますが、引き取りの最低量が決まっています。大抵0.5tなのですが、少数ですが0.8tや1.0tと、引き取りの最低量が多いプラントもあるので事前に確認しておく必要があります。

先ほどの<実例1>の舗装合材の重量は、1.2t。0.5tが最低引き取り量のプラントであれば1.5tオーダーして出荷してもらうことになります。0.3t余ってしまうのですが、これは致し方ないことと思ってあきらめて下さい。

舗装前の不陸整正が正しく行われていれば、計算通りの舗装合材の量となるんです。不陸整正が高くなると、舗装合材が余り過ぎてしまい、低すぎると舗装合材が足りなくなってしまいます。まぁ、熟練の舗装工ならば過不足なく、ほぼほぼ良いところで収まるようです。

不陸整正での出来高の差はおおよそ±1cmくらいではないでしょうか。これが高めだと舗装合材が余り、低めだと舗装合材が不足することになります。目安としては、±0.2tの増減はあると思います。その増減を加味して搬入する舗装合材の量を決めるのですが、計算値の量より若干多めの量にしないといけません。0.1t足りなくてプラントへ取りに行くのは、手間と時間がもったいないことになってしまいます。面積は、少し多めに計測して計算することをお勧めします。

図面には、測点が示されているでしょう。図面上から舗装する面積そして舗装合材の量を知ることが出来ます。しかし、それで舗装合材の搬入量を決めてはいけません。舗装する前には、必ずテープやコロコロ(ウォーキングメジャー)で、幅と延長を確かめましょう。図面と違っていることがあるので、必ず確認してください。延長が変われば舗装合材量が変わってきます。10トンダンプ数台で運搬させるときは、途中で残りの延長を計り、残り何台あれば舗装合材が足りるのか計算して出すようにしましょう。


問題2

延長=5m、幅=2m、厚さ=8cm(1層目5cm、2層目3cm)の
舗装合材の重量

回答

<1層目(粗粒)の計算>

舗装する面積
5m×2m=10m2
舗装合材の体積
10m2×5cm → 10m2×0.05m=0.5m3
舗装合材の重量

0.5m3×2.3=1.15t

1.15t×1.08=1.242t


<2層目(車道細粒AS)の計算>

舗装する面積
5m×2m=10m2
舗装合材の体積
10m2×3cm → 10 m2×0.03 m=0.3 m3
舗装合材の重量

0.3m3×2.3=0.69t

0.69t×1.08=0.745t

計算は小数点第二位までとして、最終結果は小数点第一位で、計算は足ります。ミリ単位まで計算してもあまり意味はありません。また、面積はすこし大きめで計っておかないと舗装合材が足りなくなることもあり得ます。

その後、舗装合材の重量の計算結果を舗装プラントの引き取り量に合わせて0.5tごとに繰り上げします。(生コン工場では、0.5㎥ずつ注文出荷が出来ますが、生コン工場によって0.25㎥ずつ頼めるところもあります。)

1層目(粗粒)1.24t →1.5t

2層目(車道細粒AS)0.74t →1t

つまり、1層目(粗粒)1.5t、2層目(車道細粒AS)1tをオーダーして舗装プラントから現場まで運搬しなくてはいけません。

舗装合材は、工事によって変わってくるので設計書をもらった時や舗装修繕の指示を受けたときに確認しておく必要があります。

また、既設舗装を撤去した廃材(ASガラ)の量も、延長×幅×厚さ×2.3の同じ計算で出すことができます。最大積載量4,000kgのダンプであれば4tまで積載できるとはいえ、毎回正確に重量を計測できるわけではないのも現実です。過積載に絶対ならないよう安全マージンも十分に考慮して載せるよう心がけましょう。

【この記事を読んでいるあなたへ】

「舗装」に関する製品・工法をお探しの場合はこちら

※本文内にある一部のキーワードをクリックすると、該当する製品・技術情報にアクセスできます。

プラントごとの最低引き取り量を加味しながら、不足のないように計算する必要があるんですね!

サガシバに会員登録すると、現場で役立つ最新記事の情報が受け取れるんだって!みんなもぜひ登録してみてね。

会員登録はこちら

この記事のライター
元は測量士で、今は土木の現場監督。北海道南西沖地震をきっかけに施工の現場管理へ転向。現在は、市民生活に欠かせないインフラの下水道工事を主に行っています。
『サガシバ』に会員登録して、匠の野帳をもっと便利に!
会員登録すると、最新記事の情報が受け取れる他、便利な使い方がたくさん!

RC.オガさんの匠の野帳をもっと見る

2022年06月29日 01:14 RC.オガさん
1 0
前回「コンクリートのひび割れ原因とひび割れの種類について」でひび割れの発生原因と種類についてご紹介しました。施工にどんなに注意を払っても、起きてしまうのがコンクリートのひび割れです。一口にひび割れと言...
1 0
2022年06月22日 01:24 RC.オガさん
2 0
特に、手を抜いたわけでもないのにコンクリート打設した構造体に、発生したひび割れを発見した時の驚きは、何度経験しても良いものではありません。ひび割れが起きる原因は大きく分けて、材料・設計・施工の3つに起...
2 0
2022年04月13日 01:09 RC.オガさん
3 2
暑中コンクリートとは土木学会示方書[施工編]および JASS5 では、日平均気温が25℃を越えることが予想される期間を暑中コンクリートの適応期間としています。生コンクリートが外気温の影響を受け、凝結時間が短くなり...
3 2
2022年02月16日 06:56 RC.オガさん
3 1
生コンクリートを打設して構造物を製作する工事では、品質を保証するために品質試験をしなければなりません。生コンクリートの品質試験生コンを受け入れる品質試験は、スランプ検査空気量測定生コンクリート温度の検...
3 1
2022年02月02日 01:13 RC.オガさん
7 5
生コン打設がメインの構造物を作る工事では1回1回の生コン打設が重要になってきます。生コンを打設するには、打設前に生コン打設計画書を作成しなくてはいけません。計画書には、人員数や打設量、現場の見取り図など...
7 5
2021年11月17日 04:31 RC.オガさん
6 2
元測量士ですが、北海道南西沖地震をきっかけに施工の現場管理へ転向しました。現在は、市民生活に欠かせないインフラの下水道工事を主に行っています。今回はここ3年ばかり、私が携わっている下水道の維持管理業務...
6 2
2021年09月01日 01:38 RC.オガさん
6 5
前回は2回に分けて下水道の維持管理についてご紹介しました。「下水道の維持管理(下水道本管修繕工事の流れ)~その1~」はこちら「下水道の維持管理(下水道本管修繕工事の流れ)~その2~」はこちら今回は、下...
6 5
2021年07月28日 00:52 RC.オガさん
4 2
前回「下水道の維持管理(下水道本管修繕工事の流れ)~その1~」で下水道本管修繕工事の流れについてご紹介しました。今回はその2として、5以降の項目についてご説明したいと思います。下水道修繕工事の流れ発注...
4 2
2021年06月16日 05:01 RC.オガさん
11 4
都市には、生活する上で欠かせないインフラ(インフラストラクチャー)があります。インフラは、道路、上下水道、電気、電話、鉄道など生活や産業など営む上で必要不可欠な社会的基盤になっています。私は、道路・上...
11 4
2021年04月28日 02:34 RC.オガさん
11 9
前回に引き続き「コンクリート工事での失敗と対策」についてお伝えしたいと思います。コンクリート工事の代表的な失敗例として、ひび割れが入るジャンカが入る天端の高さが違う試験体の強度不足打ち継ぎの失敗鉄筋か...
11 9
1ページ / 3ページ中
会員登録(無料)