特に、手を抜いたわけでもないのにコンクリート打設した構造体に、発生したひび割れを発見した時の驚きは、何度経験しても良いものではありません。ひび割れが起きる原因は大きく分けて、材料・設計・施工の3つに起因するものです。
今回は、ひび割れの発生原因と種類について話しましょう。
水分蒸発により水分の蒸発した部分の体積が小さくなることからひび割れが発生します。型枠内に水がたまっていたり、雨天時の施工が原因と考えられます。
水和に使用されない水分の蒸発に伴う収縮によるひび割れです。
コンクリートの沈降や初期乾燥の影響によるひび割れやブリーディングの発生による沈みのひび割れなどです。
仕上げのタイミングが不適切だとひび割れが起こります。
水和熱過大のため熱膨張したコンクリートが冷える時に、何かの収縮が拘束されることから起こるひび割れです。先に打ち込んだ部分と後で打ち込んだ部分が馴染まず、先に打ち込んだ部分により冷やされ、収縮したことで起こります。著しい場合はコールドジョイントとなります。
型枠や支保工の強度不足から打ち込んだコンクリートが変形したために起こるひび割れです。
型枠との付着によりコンクリート表面が引っ張られたり、脱型時期が、初期強度が出るよりもはやくコンクリートが変形したときにひび割れが発生します。
後打ちコンクリートの収縮が、先行施工したコンクリートに拘束されたためにできるひび割れです。
コンクリートが固まるまでの間に強い振動を受けると起こります。
硬化直後に著しい乾燥を生じると発生します。養生が十分に出来ていないことが原因と考えられます。
日照の当たりかたのむらによって、温度による伸縮量に偏りが生じると起こります。
鉄筋が所定の位置にない施工ミスで、応力を負担できないと発生します。
一般的な原因
コンクリートは温度が急激に下降すると縮む性質を持っており、その際に発生した力がコンクリートの引張強度を上回るとひび割れが発生してしまいます。夏場に施工された基礎などによく起きる現象です。
生コンを打設した地盤が軟弱で沈下してしまい構造体に影響を及ぼすものです。
震度5ほどの強い揺れがあったら、地震の影響があるかもしれません。震度1~2の軽い揺れなら無視できる範囲です。
ひびが表面だけでなく内部の鉄筋まで届いてしまっている非常に危険な状態です。この状態になると、雨水の侵入によって鉄筋が錆びてしまうだけでなく、ひび割れが広範囲に広がってしまい、最悪の場合地盤沈下を招いてしまう可能性もあります。
また、幅0.3mm以下、深さ4mm以下の髪の毛ほどの大きさのひび割れは「ヘアークラック」と呼ばれ、基礎の強度に直ちに影響を与えることはないとされています。
基礎を上から下まで横断して伸びているひび割れには注意が必要です。たとえ幅が小さなヘアークラックであっても、そのような場合は早めに補修を検討することをお勧めします。
基礎に発生したひび割れが、横方向に伸びている場合は、要注意しましょう。ひび割れは縦方向に発生することが多く、そのほとんどが構造に影響を与えるほどではないヘアークラックです。しかし、横方向や斜めに伸びるひび割れは大きな力が基礎に加わることで発生します。
しっかりと施工された基礎であれば、多少地震が起きた程度ではクラックが発生することはありません。上記のようなひび割れがある場合は、構造に何らかの問題がある可能性があります。
今回は、ひび割れの発生原因とひび割れの種類について話しました。小さなひび割れを長期間放置してしまうと、基礎コンクリートの破裂・滑落が発生します。ひび割れがどんどん広がってしまい、内部への水の浸入を防ぐことが難しくなってしまうばかりか、放置すると地盤沈下のリスクも大幅に増加します。基礎のひび割れが、酷くなる前に補修しておくことをおすすめします。あまりにもひび割れ剥離がひどくなってしまうと補修も出来なくなってしまいます。
また、コンクリート内部に雨水が浸入していることのサインとしてわかりやすいのは、ひび割れ周囲の雨染みの発生です。酷い場合は内部の鉄筋のサビ汁が溢れてしまう場合もあり、基礎の強度への影響が心配されます。コンクリートそのものには防水性がないので、ひび割れがない箇所にも雨染みが発生する可能性が十分にあります。
次回は、ひび割れ対策とひび割れの補修について話す予定です。
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