前回は2回に分けて下水道の維持管理についてご紹介しました。
今回は、下水道の新設工事についてお話ししたいと思います。ここでは、最も簡単な例としてマンホールを新設し、新設したマンホールから既設マンホールと既設下水道本管に繋がる下水道新設管設置工事を想定しています。
大まかな新設工事の流れは、以上です。では1~6のそれぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
工事が発注されたら、「図面」「数量計算書」「特記仕様書」を役所からもらいます。現場代理人に任命されたら、それらを熟読し理解しなければなりません。不明点があれば、役所の監督員に質問をして明らかにしましょう。
工事施工箇所を現地調査します。街中なのか郊外なのか、施工する上で注意点がないかなど、現地を実際に歩きながら考察します。また、骨材や資材を置ける空き地があるか見て回ります。
現地測量では、基準となる高さを測量します。近くの工事ベンチから高さを測量して誤差範囲内に入るよう観測します。管路のセンター、マンホールのセンターに加え、控え杭も設置しなくてはいけません。施工用の仮ベンチも100mおきに設置しておくと施工中の測量が楽になりますね。
資材置き場は、2~3日ほどの短期間で終わってしまうような工事であれば重要ではありませんが、一ヶ月にも及ぶ工事であれば確保できない場合、施工が大変になります。工事箇所の近くに資材置き場が確保できると時間の節約になります。
工事で迷惑をかけそうな家には、事前に説明しておくのがよいでしょう。工事を開始する1週間くらい前に、住民PR用チラシを配布します。監督員によっては事前に打ち合わせをして配布先を決める場合もあります。
準備工では、現場事務所や物置、安全掲示板や社旗などを設置します。工事看板も設置しますが、多少の風雨でも看板が飛んだり倒れたりしないように重石や杭で固定します。
工事に必要な下水本管の数量を出して手配します。商社に連絡して、現場に入るまでの日数も確認しておく必要があります。工事に間に合うかどうかきちんと確かめておかないと、工事ストップの最悪な事態を招いてしまいます。
事前に計画した工事に着手します。現場代理人の仕事は“段取り7分”と言われるほど、事前準備がとても大事です。一日の施行距離から作業員、工事車両、協力会社など、必要な手配を行わなくてはいけません。また、実際に数日施工してみて、「計画に無理がないか」「逆に余裕があり過ぎないか」など、計画の変更が適宜必要になってくるでしょう。まれに、思わぬ天候不順で作業を中止にしなくてはならない日が続くこともあります。とにかく、臨機応変に計画を変更できるように心がけておきましょう。
下水道本管工事で大事なのは、管の高さです。設計値に対して、±20mm以内になるよう管の高さを決めて施工しなければなりません。
マンホールの高さは、ベース設置で決まってしまいます。そのため、ベースを設置する床の高さを測量して、シビアに施工しなければいけませんね。まぁ、高すぎるよりは低めに設置したほうが施工する上ではよいでしょう。方法は、まず控え杭から十文字に糸を張り、糸の交わっているところに下げ振りを付けます。続いて下げ振りの下にベースの中心を合わせます。この際、下げ振りの先から1cm以内に入っていればOKでしょう。
下水管敷設後に舗装復旧がある場合は、舗装を自社または協力会社のどちらで進めるのか事前に決めておく必要があります。
併せて、
なども決めなくてはいけません。
施工が終わり、重機の使用や骨材を一時退席する必要がなくなれば、資材置き場を撤去します。レンタルのトイレや物置、土地は1カ月単位で借りていると思います。忘れ物がないように、土地の持ち主から苦情がこないようにきれいに元通りにします。
以上、下水道本管敷設工事のポイントを話しました。
新設の下水道工事で大事なポイントは、布設管の高さにつきます。勾配がきちんと取れてないと、損なわれ下水道として機能しません。しかし、ミリ単位で合わせるわけではなく仕様書の範囲内に収めれば大丈夫です。管布設時の測量は必ず行うようにしましょう。
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