舗装する際には、面積と厚さに応じた舗装合材(舗装材)を舗装プラントから搬入します。そこで今回は、過不足のない舗装合材の取り方を話しましょう。
舗装は決められた枠の中を舗装するため、「延長」「幅」「厚さ」の寸法が必要になります。これが大規模な道路舗装工事であれば、何百メートルの施工距離にもなるでしょう。反対に水道の維持工事などの場合は、1メートル×1メートルの舗装復旧からあるわけです。
舗装合材の体積は、舗装する面積(延長×幅)と舗装の厚さを掛ければ出てきます。さらに舗装合材を搬入するには、舗装合材の体積に2.3(舗装合材の比重)と、余盛分の係数1.08を掛ければ実際に必要な舗装合材の数値が出てきます。
舗装する面積=延長×幅 |
延長=5m、幅=2m、厚さ=5cmの舗装合材の重量 |
舗装する面積 | 5m×2m=10m2 |
舗装合材の体積 | 10m2×5cm → 10m2×0.05m=0.5m3 |
舗装合材の重量 | 0.5m3×2.3=1.15t 1.15t×1.08=1.242t |
舗装する面積から電卓で求めると「5×2×0.05×2.3×1.08=1.242t=1.2t」となります。計算するときは単位を合わせて計算します。5cmは0.05mです。
必要な舗装合材の重量が分かれば、舗装プラントから現場へ搬入します。量が多ければ、10tダンプを頼んだりしますが、少量の場合は4tダンプで取りに行きます。
舗装プラントにもよりますが、引き取りの最低量が決まっています。大抵0.5tなのですが、少数ですが0.8tや1.0tと、引き取りの最低量が多いプラントもあるので事前に確認しておく必要があります。
先ほどの<実例1>の舗装合材の重量は、1.2t。0.5tが最低引き取り量のプラントであれば1.5tオーダーして出荷してもらうことになります。0.3t余ってしまうのですが、これは致し方ないことと思ってあきらめて下さい。
舗装前の不陸整正が正しく行われていれば、計算通りの舗装合材の量となるんです。不陸整正が高くなると、舗装合材が余り過ぎてしまい、低すぎると舗装合材が足りなくなってしまいます。まぁ、熟練の舗装工ならば過不足なく、ほぼほぼ良いところで収まるようです。
不陸整正での出来高の差はおおよそ±1cmくらいではないでしょうか。これが高めだと舗装合材が余り、低めだと舗装合材が不足することになります。目安としては、±0.2tの増減はあると思います。その増減を加味して搬入する舗装合材の量を決めるのですが、計算値の量より若干多めの量にしないといけません。0.1t足りなくてプラントへ取りに行くのは、手間と時間がもったいないことになってしまいます。面積は、少し多めに計測して計算することをお勧めします。
図面には、測点が示されているでしょう。図面上から舗装する面積そして舗装合材の量を知ることが出来ます。しかし、それで舗装合材の搬入量を決めてはいけません。舗装する前には、必ずテープやコロコロ(ウォーキングメジャー)で、幅と延長を確かめましょう。図面と違っていることがあるので、必ず確認してください。延長が変われば舗装合材量が変わってきます。10トンダンプ数台で運搬させるときは、途中で残りの延長を計り、残り何台あれば舗装合材が足りるのか計算して出すようにしましょう。
延長=5m、幅=2m、厚さ=8cm(1層目5cm、2層目3cm)の舗装合材の重量 |
<1層目(粗粒)の計算>
舗装する面積 | 5m×2m=10m2 |
舗装合材の体積 | 10m2×5cm → 10m2×0.05m=0.5m3 |
舗装合材の重量 | 0.5m3×2.3=1.15t 1.15t×1.08=1.242t |
<2層目(車道細粒AS)の計算>
舗装する面積 | 5m×2m=10m2 |
舗装合材の体積 | 10m2×3cm → 10 m2×0.03 m=0.3 m3 |
舗装合材の重量 | 0.3m3×2.3=0.69t 0.69t×1.08=0.745t |
計算は小数点第二位までとして、最終結果は小数点第一位で、計算は足ります。ミリ単位まで計算してもあまり意味はありません。また、面積はすこし大きめで計っておかないと舗装合材が足りなくなることもあり得ます。
その後、舗装合材の重量の計算結果を舗装プラントの引き取り量に合わせて0.5tごとに繰り上げします。(生コン工場では、0.5㎥ずつ注文出荷が出来ますが、生コン工場によって0.25㎥ずつ頼めるところもあります。)
1層目(粗粒)1.24t →1.5t
|
つまり、1層目(粗粒)1.5t、2層目(車道細粒AS)1tをオーダーして舗装プラントから現場まで運搬しなくてはいけません。
舗装合材は、工事によって変わってくるので設計書をもらった時や舗装修繕の指示を受けたときに確認しておく必要があります。
また、既設舗装を撤去した廃材(ASガラ)の量も、延長×幅×厚さ×2.3の同じ計算で出すことができます。最大積載量4,000kgのダンプであれば4tまで積載できるとはいえ、毎回正確に重量を計測できるわけではないのも現実です。過積載に絶対ならないよう安全マージンも十分に考慮して載せるよう心がけましょう。
【この記事を読んでいるあなたへ】 「舗装」に関する製品・工法をお探しの場合はこちら ※本文内にある一部のキーワードをクリックすると、該当する製品・技術情報にアクセスできます。 |
プラントごとの最低引き取り量を加味しながら、不足のないように計算する必要があるんですね! 『サガシバ』に会員登録すると、現場で役立つ最新記事の情報が受け取れるんだって!みんなもぜひ登録してみてね。 会員登録はこちら |