これまでプライベートで出かけるときにしか気にしなかった天気予報。施工管理を行うようになり、毎朝必ず1日の天気、週間天気をチェックするようになったことは、社会人になって変わったことの1つだと思っています。雨天時の施工は、晴天時とは違って作業がしづらいだけではなく、いつも以上に安全について気をつけることがあるのではないでしょうか?
近年、日本各地で大雨による豪雨災害や土砂災害が発生しています。中でも梅雨シーズンは災害が発生しやすく、より安全に施工するための対策が必須です。そこで今回は、今年の6月から7月の梅雨シーズンに行った工事とその現場での安全対策について紹介します。
今回行った工事は、災害時の代替ルートの確保と道路渋滞の緩和を目的とした某スマートインターチェンジ工事に伴う構造物構築工です。
現場には、下記3点の特徴(安全面)がありました。
構造物構築工事中の天候は、なんと毎日雨。入社してから6年経ちますが、はじめての経験で、毎日雨具を着ながらの現場作業でした。さらに雨も小雨ではなく土砂災害警戒情報が発表されるほどの大雨です。安全対策についても雨天時に特に注意すべき点が挙げられていたため、作業員はもちろんのこと、第三者へ被害を及ぼさないような対策が求められました。
施工場所付近では、施工開始前に法面が崩壊した現場もあったため、工事がストップしたところもありました。そのため、常に法面の崩壊などの異変がないか確認を行い、安全な作業通路を確保してから作業を行いました。また、落石が懸念される箇所があったため、パトロールをはじめ作業開始前や作業中も付近の状況を確認し、作業員に周知するなどの対策を行いました。
構造物を構築する作業エリアは、高所での作業が発生します。そのため、高所からの転落・墜落災害を防止するための安全設備の設置を確実に行いました。さらに雨天時は、滑りやすい場所もいくつかあったため、足元の確認はもちろんのこと、作業スペースに資機材を置く際、視界に入りやすいよう整理整頓を行った後、構造物上の端ではなく中央部にまとめて保管するようにしました。
大雨の際は、河川の流れる速さも水量も増大してしまいます。普段は作業員の声のかけ合いができる場面でも、大雨の際は河川の音に声がかき消されてしまい、なかなか意思疎通を図るのが難しい・・・と作業員の皆さんも声を漏らします。職長の指示がうまく伝わらず過った行動をしてしまった場合、現場事故の原因にもなりかねません。特に、クレーン作業は気をつけなければなりません。現場作業の中には重量物を取り扱う作業があったため、吊り荷直下に作業員が入らないようにすることは安全注意事項として常に最重要項目となります。そのため、クレーン作業を行う場合は作業員同士の声ではなく、玉掛警報機を使用して周知させるようにしました。
決められた工期の中で、工事を行うために欠かせないのは安全対策です。天候に関係なく無事故・無災害で工事を終えるまでには、各所のパトロールを行い、危険箇所の洗い出しから是正策まで、安全について考えない瞬間はないのではないでしょうか。近年、大雨による自然災害が多く発生しています。普段から行っている安全対策に加えて、雨天時に考えられる危険ポイントのチェックや周知も工事を進める上で重要な業務です。
今年の梅雨シーズンは、毎日雨の中で施工を行うというはじめての経験をしたことで、通常行っている作業内容ごとの危険ポイント以外に、天候による安全対策が必要になるということを感じました。改めて、作業手順書内の記載事項やリスクアセスメントについて再確認した現場だといえます。作業員すべてが怪我をすることなく、安全に工事を進めるために業務に取り組んでいこうと身が引き締まる思いをしました。
「昨日は問題がなかったから、今日も大丈夫!」ということはなく、天候と同じで現場状況も変化していくことを常に意識して業務を行いたいものです。
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