建設現場の全体を撮影!『タイムラプスカメラ』の魅力

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「建設現場の記録を、着工から竣工まで残せたらいいのに・・・」

私がまだまだ未熟者で、上司や先輩の真似をしながら必死に仕事を覚えていた新人時代、ふと思ったことです。新人時代は「一日も早く現場の流れを理解したい!」「二度目はスムーズに仕事を進めたい!」という気持ちでいっぱいでした。

そんな時に出会ったのが『タイムラプスカメラ』です。タイムラプスカメラによって、現場作業の記録ができ、知識の習得に大きく役立っていますし、現在も可能な限り現場全体を撮影しています。

今回は、そんなタイムラプスカメラついてご紹介したいと思います。


タイムラプスカメラとは


タイムラプスカメラは、数秒・数分単位でインターバルを設けて、同じ位置から撮影した数多くの写真を繋げて映像にできるカメラです。本来は時間のかかる物の動きを、短時間で映像として表現できるという特徴があります。


例えば、雲の流れや星の動きなど、肉眼ではなかなか一連の動きが見えないようなものの撮影に適しています。


建設現場でも同じですよね。大きな現場であれば、数ヶ月〜数年かけて工事が竣工しますが、その間に多くの工程があり、多くのドラマが生まれます。そんな様々な場面を撮影して、ぎゅっと一つの動画データとして残すことができるのがタイムラプスカメラです。

工事全体が撮影できる場所にカメラを固定して、工事規模によってインターバルを設定して着工から竣工までを撮影します。全体はタイムラプスカメラ、細部は通常のビデオカメラを併用することもおすすめです。近年はICT技術の導入によって、現場状況を伝える手段も多様化しています。そのため、タイムラプスカメラを導入した建設現場の記録も増えてきているように感じています。


タイムラプスカメラの特徴


 ①広範囲で撮影が可能

タイムラプスカメラは、現場全体を撮影でき、施工の一連の流れを記録に残すことができます。毎日現場で作業をしているとはいえ、すべての工程に立ち会えることはないですし、現場に立ち会っていても、見逃してしまう場合もありますよね。

タイムラプスカメラを導入すると、自分自身が見なかった工程も撮影できるので、後で見て振り返ることが可能です。


 ②現場の全工程の把握が可能

タイムラプスカメラでコマ撮りした写真を施工工程に合わせて編集することで、それぞれの作業内容に対してどのくらいの人員で作業を行なっているのか、日当たり施工量がどれくらいかを理解しやすい動画にすることもできます。

どのような工程で進んでいるのか、どの順番で工事が進んでいるのか、撮影された写真のままだとなんとなくイメージしづらい場合もあります。施工現場が大きいほど、造り上げる構造物が大きいほど、なかなか全工程を見ることは難しいものだと思います。このように、タイムラプスカメラは、現場の全体図を把握することができるのが最大の特徴と言えます。

次に、タイムラプスカメラのメリット・デメリットについて、私自身の経験をベースにお伝えしたいと思います。


タイムラプスカメラのデメリット


 ①風が強い日はカメラのアングルが変わってしまう

せっかくいいアングルで撮影できていても、強風によってカメラのアングルが変わってしまい、本来撮影したかったものを撮影できていない・・・なんてことがあります。天候のチェックをして、風が強い日は頑丈に固定するような対策が必要です。


 ②電池が消費してしまうと撮影不可能になるので、こまめに電池残量の確認が必要



タイムラプスカメラの電池残量には注意が必要です。「まだ電池があるから大丈夫!」と油断してしまうと、一番大事な工程で電池切れになってしまい、最後まで撮影できないことがあります。ときどき電池残量を確認する必要があります。


 ③動画にしたい場合、コマ撮りした写真を時系列に並べ替えて編集する必要がある

コマ撮りのインターバルが短いほど、細かく撮影できているので、編集しない場合でも動画のように見ることができます。ですが、電池交換をした場合や撮影できているか確認のためにカメラを外した場合は、撮影した写真が順番通りになっていないことがほとんどです。そのため、動画編集ソフトで編集をした方がわかりやすくなりますが、その分動画編集に時間を要してしまいます


タイムラプスカメラのメリット


 ①現場作業時間にどのような施工手順で作業を行なっているか振り返ることができる

24時間撮影することが可能なので、一日の作業の流れを理解しやすいです。また、次に類似工事があった場合、この撮影データから参考にできることが多く、改善点も見つけやすいです。


 ②一連の施工ステップから、現場の管理に問題がないか、改善点がないか確認できる

安全管理に問題はないか、この日の作業は工程通りか・・・これらもしっかり記録に残っているからこそ、全体で確認することが可能です。


 ③写真を繋げて動画にすることで、若手社員などの教育資料になる

動画を見ることで、実際に現場の状況がイメージしやすくなります。新人時代の私のような経験の浅い社員にとっては、大切な学びのツールとなります。では最後に、タイムラプスカメラをどのような場所に活用できるかをご紹介します。


タイムラプスカメラの活用事例


 ①社内・社外の勉強会資料として配布

社内の研修や勉強会などで、スキルアップするための資料として活用できます。現場に従事する社員は、それぞれの現場の全体像を共有することで、知識の向上が期待できます。現場へ行くことが少ない内勤の社員も、現物を見る機会が増えることで、普段の業務に活かすことができます。


 ②建設業界に関する展示会・イベントで技術力のアピール

建設業界のホットな話題を提供するイベントや技術力をPRする展示会などでは、自社の技術をいかに伝えるかが課題になります。タイムラプスカメラで撮影した動画を活用することで、より印象付けることができます


まとめ


タイムラプスカメラを現場に導入したのは、私自身が施工現場を早く習得して自分のものにしたいと思ったのがきっかけです。ですが、今となっては他の社員への技術の伝承、若手社員への教育ツールにもなっています。それだけではなく、社外からの問合せやイベントでも施工状況動画を視聴してもらうことで、技術をPRできるようにもなっており、自分だけではなく周りにも大きなメリットとなりました。


タイムラプスカメラの導入は、現場作業の撮影だけでなく、安全面のチェックや現場環境の改善にも役立ちそうです。

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この記事のライター
大学では土木工学科で都市計画を専攻。
建設会社に就職し、これまで設計・施工の2つの業務に従事しながら経験を積む。
現在は現場代理人として日本各地の現場へ赴き、施工管理業務に従事している。
趣味は美容、旅行、プロレス観戦。
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