建設現場においては、大きな事故なく工事を進めるために“安全衛生管理は非常に重要”といえます。工事の着手前には、現場で作業する人を作業員名簿にまとめたり、施工体制台帳を作成したりします。また、工事で使用する重機や使用する工具についても、事前に届け出が必要です。
このように、工事着手前に必要となる書類を“安全書類”といいますが、作成に多くの時間を要したり、修正事項が多くなるとすぐに対応できなかったりします。さらに、元請会社・協力会社との連携がうまくいかず、何度も修正する必要があるなど効率よく書類作成が進められないというところが難点です。
そこで今回は、安全書類を効率よく作成するために知っておきたい“グリーンサイト”についてご紹介します。私自身が下請業者という立場でグリーンサイトを使用して感じたこと、使用時に気をつけるべきことなども共有したいと思います。
「グリーンサイト」は、グリーンファイル(安全書類)を作成するためのクラウドサービスです。
従来は紙媒体で管理していた安全書類ですが、グリーンサイトを利用することで作成・提出・管理すべてを“クラウド上”でできるようになりました。グリーンサイトでは、現場に関わる作業員を登録することで、施工体制台帳・作業員名簿・新規入場者アンケートなどの書類が自動で作成されます。また、一度入力した情報は別の工事でも引き継ぐことができます。
たとえば、作業員の保有資格や使用する重機・工具などの情報を一度入力すると、別の工事で最初から登録する必要がなく、データを引き継ぎ、書類を作成できるのです。もちろん例外もあり、保有資格や建設業許可などが期限切れの場合は最新情報の登録が必要です。しかし、変更箇所のみを再度登録すれば良いため、“作業に要する時間を大幅に短縮することが可能”になりました。
ほかにも、必要な書類の作成状況が一目でわかるようなシステムになっています。書類作成が完成しているのか、作成途中なのか、未作成であるのかがわかるため、必要書類を作成し忘れてしまったという事態を避けられるのです。
このように多くのメリットがあげられることから、グリーンサイトを使用することでこれまでに比べて簡単に安全書類を作成できるようになり、結果として“業務の効率化”が期待できるといえます。
はじめてグリーンサイトを使用して感じた私の感想をご紹介します。
「作業員を新たに追加したい」
「重機の自主検査情報を登録したい」
「新規入場者アンケートはどこから確認できるのか」
など、できることが数多くあるグリーンサイト。
だからこそ、はじめてグリーンサイトを使用する人が苦労することは、どこから何ができるのかが分からないという点ではないでしょうか。
私自身、会社内でグリーンサイトを使ったことがある人はごくわずかであったため、使用したことがある人を探し、その人に聞きながら操作を覚えていきました。元請会社から「グリーンサイトで安全書類を提出してください」と言われて、まず何から始めるのか悩んだり、入力の仕方が正しいのか不安になったりしたのを今でも覚えています。
ですが、書類作成に必要な一連の流れを経験することで、次回からは簡単に書類の作成・確認・提出ができると感じました。まずは完璧ではなくても、一度すべての必要事項を入力しできあがった書類を見てみると“この場所でできることは何か”が理解しやすいと思います。
グリーンサイトでは、工事ごとにどの書類が必要なのかが一目で分かるようになっています。そのため、順番に作成していけば必要書類一式を作成できるという点が優れています。また、直近上位の会社にとっては、協力会社の書類が今どこまで作成されているかを確認でき書類管理がしやすいです。作成する書類が分かりやすいということで、工事に関わる会社すべてが同時進行で書類の作成を進められます。
従来の紙媒体での安全書類では、元請会社→1次下請会社→2次下請会社のように、書類を作成しなければ進められない場合がありましたが、グリーンサイトはすべての会社で同時に書類を作成できることで、時間のロスがないように感じました。
グリーンサイトが便利だということは言うまでもありません。しかし、使用する際に注意しなければならない点もあるため、ここでは注意点を共有します。
グリーンサイトは必要事項を入力すると、自動で書類作成される点が魅力的です。しかし便利な反面、書類作成後の最終チェックを怠ってしまうと大変なことにもなりかねません。書類作成後の最終チェックを怠った結果、二度手間になったという経験について共有します。
グリーンサイトでは、工事と作業員の情報を紐づけることで、サイト上に新規入場者アンケートを自動で作成することができます。新規入場者アンケートは、新規入場者教育を受ける際に持参しなければならない書類の1つです。新規入場者アンケートをデータとしてではなく、紙に出力すると送り出し教育日が出力した日として記載されてしまいます。
つまり、「新規入場者アンケートを出力した日付」が「送り出し教育実施日」になるということです。元請会社に書類を持参すると、「日付を修正して提出し直してほしい」と担当者に言われてしまったのです。この経験から、できあがった書類を細部までチェックすることは重要だと学びました。
工事をする上で、バックホウ・フォークリフト・高所作業車などの重機を使用する場合が多いです。その際、きちんと点検されているか確認するだけでなく、点検に関する情報が最新か確認する必要があります。
たとえば、前回入力した重機情報がそのまま他の工事でも引き継がれるという認識があると、点検情報の更新を忘れてしまいがちです。もし、点検情報に不備があると、工事当日に重機を使用できないというケースが考えられます。私の場合、重機の入力情報の点検項目を確認し忘れてしまい、1年前のデータのまま提出してしまいました。
結果として、書類が完成し元請会社のチェックが完了するまで重機の使用ができなくなってしまったのです。これにより、工程が伸びてしまったことは反省すべきことです。必ず最新の点検情報になっているか確認を忘れないようにしなければなりません。
今回は、実際に使用した感想を中心にグリーンサイトについてご紹介しました。グリーンサイトの誕生により、多くの会社で導入が進んでいることと思います。
紙に比べて管理がしやすい上、工事に関わるすべての人がクラウド上で共有できる点が大変便利です。安全書類の作成に費やす時間が減ったことで、安全についての実施項目を考えられる時間にあてられたり、品質向上のための時間にあてられたりします。
グリーンサイトを使う方にとって、私の経験談が少しでも役に立つと幸いです。
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グリーンサイトを利用することで、今まで苦労していた安全書類の提出・修正などの管理が効率的に行えるんですね。一方、操作に慣れるまでは少し大変そう…。相談広場には、実際にグリーサイトに関する相談も寄せられています。 「関連質問:グリーンサイトの作業員名簿について教えて下さい。」 わからないことがあるときは、サガシバの相談広場を活用してみよう! |