建設業界で女性を見かけるのは、今や珍しいことではなくなってきていますよね。設計者や現場監督など、技術者として活躍している女性を数多く知っています。
かく言う私も土木の世界に魅せられ、建設業界で仕事をしている一人です。女性が活躍するフィールドとなるには、まだまだ課題はありますが、今回は「土木の楽しさ」をテーマにお届けしていきたいと思います。
私は現在、主に道路工事において施工管理業務を行っています。若手社員時代は先輩の手伝いがメインで、簡単な書類作成・測量補助・写真撮影などをしながら、先輩の仕事を自分の目で見て真似て経験を積んできました。
「机上の空論を語る前に、自分で見て経験して覚えろ」という上司の指導のおかげで、これまで数々の現場で経験を培ってきました。20代後半となった現在では、私が現場代理人として主体となって、現場での仕事を進めることができるようになっています。
施工管理の4大管理を徹底しながら、発注者や下請業者とコミュニケーションを取り、円滑に現場が進められるように努めています。
私の父は家具づくりが趣味だったので、私自身も幼い頃から自分で1から物を作ることが大好きでした。そのため、“いつかものづくりに関わる仕事をやりたい”という思いが私の中にはありました。
私が高校生の頃、進路選択のために学校帰りに書店に立ち寄って、ものづくりに関するいろいろなジャンルの本を読んでいたところ、土木の本が並んでいるコーナーで大きな構造物の写真が表紙に載っている本を見つけました。その本を開いてみると、橋・トンネル・ダムなどスケールが大きい構造物ばかりで、「ものづくりの中でもこのような大きなものをつくってみたい」と直感でそう感じました。
そして、大学は土木を学ぶことができる土木学科を選択し、それから4年間は土木について学んできました。土木というのは構造物をつくりあげることだけではなく本当に幅広い世界。私たちの快適な暮らしを実現するために重要な役割を担っていると知り、ますます興味を抱くようになり、就職先は建設業界と決めました。
大学4年時の就職活動を経て、念願叶って建設業界で社会人生活を歩むことができました。
現場で仕事をしていると、どんなに入念に計画を立ててもその通りに進まないことや、ちょっとしたトラブルが発生してしまい、その場で対処しなくてはいけないことがあります。
また現場は、高所からの転落や重量物の取り扱い、建設重機との接触など危険箇所を挙げればキリがなく、安全面について考えなければいけないことが多く存在します。だからこそ、一つの現場を完成させたときや、一つのプロジェクトを終えたときの達成感は計り知れません。実際に私がはじめて現場代理人として一つの現場をやり遂げたとき、自然と涙が流れたのを覚えています。
すぐにやるべきことを後回しにしてしまって上司に叱られたり、トラブル発生時にその場で判断ができず、発注者や下請業者に迷惑をかけてしまったこともあります。しかし、このように順調にいかないときこそ、自分で考えて解決に導く力が身につくことを知りました。これぞ“ピンチはチャンス”という言葉がぴったりで、施工管理の経験を積むほどに自分自身の成長を感じられます。これが仕事のやりがいに繋がり、この仕事を楽しいと感じさせる要素なのではないかと思います。
女性が工事現場で仕事をする光景がよく見られるようになっていますが、男性と同じように資材や機材を運ぶだけでも体力的にとても大変です。さらに、日焼け止めを塗ってばっちりメイクをしても、汗をかいて午前中にすべて落ちてしまうこともしょっちゅうあります。
そんな女性だからこそ感じる苦労や悩みはたくさん出てきますが、それでも大きなプロジェクトを完了させたときの達成感や上司や先輩から一人の技術者として認められたときの気持ちが苦労や悩み以上に、建設業界で仕事をすることが誇らしく感じ、大きなやりがいを感じることができるのだと思います。
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