防災計画は国、都道府県、市町村それぞれで策定していますが、市町村にはそのエリアの居住者がいるため、彼らが被災者にならずに避難させることを目標とした防災対策を講じています。
自助、共助及び公助がかみあって最適な避難となるため、それぞれの立場の対策についてご紹介します。
令和元年発生の東日本台風において、宮城県丸森町の水害が発生したエリアでは「避難指示(緊急)」は発表せず、「災害発生情報」という緊急速報メールを配信しました。それは事前に「避難勧告」を発表しており、住民が混乱すると判断したためでした。
また、台風発生時に近隣河川が氾濫したことを知らずに自宅にとどまっていた人が少なくなかったため、逃げ遅れが発生しました。
内閣府は台風19号の教訓により、中小河川の簡易的な浸水想定図の策定用「手引き」を公表し、越水・決壊を迅速に対応するための危機管理型水位計を増設、越水・決壊検知センサーの開発を進めるとしています。
また、これをきっかけに国は避難勧告と避難指示の2つを一本化して、避難指示とする法律へと改定しました。
避難指示は警戒レベルが4になった時点で発令されます。水防法で定められている警戒レベル3(避難判断水位)になった時点で、高齢者は避難を開始し、一般の方は避難準備を始める指示が発令されます。
河川水位がレベル4(はん濫危険水位)に至った時点で、河川の対象エリアの居住者全てに避難指示が発令されます。
出典元:内閣府 避難情報等について
災害が発生したときに、まず自分自身の身の安全を守ることです。この中には家族も含まれています。他には、家具などの転倒防止や個人住宅の耐震化、家庭での水や食料といった備蓄なども「自助」が中心となります。
地域やコミュニティといった周囲の人たちが協力して助け合うことをいいます。災害直後の状況下で、一人ひとりを助け、守ることに必要不可欠となるのは、自ら守る「自助」と、近隣で助け合う「共助」です。
市町村や消防、県や警察、自衛隊といった公的機関による救助・援助が「公助」です。避難所等の確保や避難路の整備等は「公助」が中心となります。
防災教育・防災訓練は、学校・地域・家庭が連携して行うことが必要となり、「自助」、「共助」、「公助」の連携が不可欠であり、これら3つが連携して初めて、防災が成り立ちます。災害時のみ連携を図ることは難しいため、日ごろから地域やコミュニティとの連携を大切にしましょう。また、「公助」だけでは被災者が多い場合には救助・援助する側の人手が到底足りません。
堤防の規模拡大、ポンプ場整備などのハード整備は短期的な対策が困難であるため、いかにソフト対策を的確に講じるかに考えがシフトしています。
この記事においては、ソフト対策として自助、共助、公助について記載しました。インフラのハード整備とともに、このようなソフト対策が実施できるように法律も改定されています。人的被害の原因が「逃げ遅れ」という避難指示の伝達のずれによるケースが多かった過去の事例から、国はそれを改善すべく動いており、現在もソフト対策として、内閣府主導で戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の研究開発をしており、早期実装に至っています。