下水道事業の広域化・共同化が必要な理由とは

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下水道事業では様々な施設を広域化(集約化)・共同化することが可能ですが、そのためには単一の市町村ではなく、都道府県単位の広いエリアを対象として、広域化・共同化を検討する傾向があります。

処理場などのハード施設の共同化とともに、管路、事業事務を共同化する動きが出てきました。

下水道事業において様々な取組みをどのタイミングで実施すべきなのか、広域化・共同化がなぜ必要なのか、についてご説明いたします。


汚水の広域化・共同化について



 ① 汚水の集約処理

汚水の広域化によって、下水道および集落排水を集約化できます。複数の処理場を一括で広域化することは困難ですので、対象区域の複数の処理場でICTを活用して、共同監視を実施します。そして、次のステップとして中枢処理場以外の処理場を順番に広域化していき、接続管路を並行して建設します。これにより、処理施設管理にかかるコストを削減できます。

 ② 汚泥の集約処理

汚泥処理を単独の処理地域でなく、都道府県単位の広いエリアを対象として、集約処理すると複数施設で汚泥処理施設を運営する必要がなくなり、市町村はハード面において改築修繕が削減でき、維持管理に関するコストを削減できます。

 ③ し尿、浄化槽汚泥等の集約処理

し尿処理場区域を下水道と連携することで、し尿処理場では受入貯留および脱水処理により、希釈水倍率を下げ下水道に放流できるため、生物処理設備は不要となります。

これにより、市町村はハード面において、改築修繕が削減でき、維持管理に関するコストを削減できます。

出典元:下水道事業の広域化・共同化の取組(P30) - 国土交通省


 ④ 事務の共同化


下水道事業を運営するにあたり、管路台帳、設備台帳が必要になります。これらはストックマネジメント計画策定だけでなく、様々な計画のためにデジタル化が必須です。

共通システムを構築することで、広域化・共同化に合意した自治体は集中管理が可能となります。

下水道事業を公営企業会計に移行する際、単独市町村ではなく、共同運用する協議会等を設置し複数団体が共同して行う場合、導入コストが削減できるうえ、共同調達も有効になります。

出典元:事務の共同処理などによる自治体間の連携方策について(P2) 総務省(令和3年2月19日) 


広域化・共同化の時系列について


汚泥の集約処理、公営企業会計を除いた事務の共同化は短期(5年程度)からの供用開始が可能です。汚泥を集約処理する場合、汚泥処理施設の改築更新費を削減できます。

汚水処理の広域化のためには、管路施設を中枢処理場の処理区に接続させる必要があり、中期(10年程度)、長期(20~30年)での実施となり時間を要します。広域化計画に合意する市町村は初期よりICTを活用して、施設運営、維持管理を集中監理できるため、人件費を削減できます。

公営企業会計への移行には、事前準備に時間を要するため、中期の取組みとなります。


まとめ


 

下水道事業を安定して経営していくには様々な手法が必要となりますが、収支を黒字化させることが最大の目標となります。

広域化・共同化計画は、都道府県の策定する「整備計画」の一部として位置づけられており、本計画は長期にわたって社会的に多大な影響を与えます。このため、都道府県の計画であっても下水道事業は市町村の管轄であり、計画の方向性に合意するか否かは重要な問題です。

下水道事業の収支対策を市町村単位でとることは難しいため、都道府県の策定する計画を活用することで、事業経営の改善の一手となり、下水道事業の問題点を住民に理解していただける良い機会ととらえることもできます。

広域化・共同化計画は短期に実施できる取組み、中長期に実施する取組み等様々あります。コスト削減と建設を要する場合は予算の兼ね合いも考慮して、実施時期を決定していかなければなりません。


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この記事のライター
大学で衛生工学研究室に所属しており、卒業後に建設コンサルタント会社に就職し、20年間下水道の設計、計画をしています。
新規計画は減ってきていますが、経営戦略や官民連携、広域化共同化、PFI/PPPなど多くやるべき事があるため、面白いですね。ここではそれらの記事を掲載したいと思います。
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