防災計画には国レベルの総合的かつ長期的な計画である防災基本計画と、地方レベルの都道府県及び市町村の地域防災計画があり、それぞれのレベルで防災活動を実施してきました。
しかし、自助、共助及び公助がうまくかみあわないと大規模広域災害後の災害対策がうまく働かないことが強く認識されたため、今回は「防災計画」の多岐にわたる対応についてご紹介します。
国、都道府県、市町村、地域それぞれにおいて、災害時に対応する行動は異なります。市町村は管理する地域の居住者の避難及び災害の拡大を防ぐ予防処理をします。都道府県は市町村が複数にわたる場合、国に報告するため情報をまとめています。
出典元:地区防災計画ガイドライン(平成26年3月) 内閣府(防災担当)
国は広範囲にわたって災害が起きた場合、対象エリアの情報を管理する必要があるため、都道府県より各エリアの情報を総括的に整理する必要があります。防災基本計画にはそれらの情報がまとめられています。
降雨を伴う災害の場合、河川による水害が発生する恐れがあります。河川管理者が国及び都道府県の場合は、住民に状況を周知する義務があります。
出典元:洪水予報河川とは (水防法) 国土交通省 水管理・国土保全局
国及び都道府県の周知の流れは次のとおりです。
日本は地震、津波、暴風、竜巻、豪雨、地滑り、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、火山噴火、豪雪など極めて多種の自然災害が発生しやすい自然条件下に位置し、防災対策の一層の充実強化が求められています。
災害の発生を完全に防ぐことは不可能であることから、災害時の被害を最小化し被害の迅速な回復を図る「減災」の考え方を防災の基本理念とし、たとえ被災したとしても人命が失われないことを最重視すべきです。
災害が発生することが前提条件になっていますが、平常時、発災時(地震、台風など)、復旧時の3つのフェーズで考えた場合、各フェーズでやるべきことがあり、どれも行政主体で実施されています。
平常時に河川氾濫、土砂災害のために危険個所の調査をしています。発災時に大きな災害が起きないかを確認しています。平常時の整備項目の一つに「ハザードマップ」があり、ハザードマップ対象災害として、洪水、内水、津波、高潮、土砂災害、火山が挙げられます。
各自治体で作成したハザードマップを、統合型ハザードマップとして国がまとめたものがあります。国土交通省では全国のハザードマップ情報をインターネットで一元的に検索できるポータルサイトを運用しています。各市町村においては、そのハザードマップのポータルサイトへ洪水や土砂災害などの情報を掲載しています。
発災時には、避難状況把握、緊急警報の発令などを行います。初動期は災害対策本部や避難所が設置され、被災者は「避難所への避難」、「在宅避難」、「域外避難」などを選択し、それぞれの判断で災害への対応を取ります。被災者は避難勧告、避難準備勧告に準じて避難します。
災害が発生した時に問題が発生するエリアのモニタリングを実施します。想定箇所は盛土、法面等、堤防、構造物、埋立地、空港、港湾、砂防が考えられます。
市町村は地震など突然の災害への対策として、高齢者や障害者等自力での避難が難しいと思われる人(避難行動要支援者)を把握し、避難行動要支援者名簿及び個別避難計画を作成しなければなりません。対象者は福祉的な支援を要することから、福祉専門職をはじめ、自治会や自主防災組織など地域関係者の理解を得る必要があります。
しかし、特定の個人に避難支援等実施者としての負担が集中することは防がなければなりません。なぜなら、災害時に特定の個人が複数の避難行動要支援者をフォローすることは困難であると想定されるからです。防災関係者に加え、福祉・医療関係者とも連携して避難計画書を作成する必要があるでしょう。
また、実効性を確保する取組みが重要なため、まずは避難訓練から始めることが必要です。
出典元:防災白書 令和4年版(全体版P.30に記載) 内閣府
防災計画は管理レベルにより異なり、地域防災計画ではコミュニティレベルで災害による被害を軽減するために、様々な取組みが行われています。
しかし、以下の問題が課題となっています。
これらの課題への対策等は「地域防災計画と国が定める防災基本計画について(対策編)」でお伝えしたいと思います。