【失敗から学ぶ】60mの道路改良工事で100万円以上の赤字を計上!新米監督時代に担当した工事現場での失敗談

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転職組だった私はいくつかの工事現場で作業員を経験しながら、施工管理技士の資格を取得し初めて現場を持つことになりました。

今回、ご紹介するのは初めて担当した現場で経常利益どころか、最終的に100万円以上の赤字を計上してしまった新米監督時代の失敗談です。


100万円以上の赤字を計上した失敗談



初めての現場は、60ⅿのどんつき道路の古い落蓋側溝を撤去して自由勾配側溝に変えた後、舗装版の打ち換えまで行う、請負金額数百万円の現場でした。着工前の測量も終わり、明日から現場作業が始まるという日の夕方、ベテランの重機オペレーターが声をかけてきました。

オペレーター「明日のダンプは2tなの?4tダンプは入れない?」

「(道路幅から掘削幅を引くと残りは‥)厳しいかもですね。掘ってしまうと道路があまり残らないから。」

すると、オペレーターはすかさずこう言いました。

オペレーター「じゃあダンプの台数を増やさないといかんな。どっちにしろ1台のダンプじゃこの仕事はできんし。」


明日の現場は、重機オペ1人作業員2人ダンプ運転手1人、それと私の5人しか配置されていません。

「誰が運転するの?運転手1人しかいないよ。」

経験不足の監督らしい返答です。

オペレーター「じゃあ、明日は1台のダンプが帰ってくるまで、コーヒーでも飲んでゆっくり待つことになるな。」

そう言い残しオペレーターは帰っていきました。それは、私が自分の考えの浅さを痛感したと同時に、新米らしさを露呈し完全に現場の主導権を重機オペレーターに握られた瞬間でした。


翌日からの現場作業はスムーズに進んでいきました。ベテランオペレーターが

「コンクリート殻を捨てたら、そのまま砕石を積んでこいよ。」「このダンプの土砂は埋戻し用だからそっちに置いて、こっちのダンプの土砂を捨て場に運んでくれ。」など、運転手に次々と指図します。

時には、3時前に埋戻しと片付けまで終わることもありました。現場は順調だったと思います。しかし、完工後に机に置かれていた決算書の粗利欄は100万円以上の赤字。私は、現場での感覚とのずれに驚きました。そして少し自信のあったテストがひどい点数で返ってきた時のような気恥ずかしい気分になりました。

初めての現場がある意味、赤点だった原因はどこにあったのか。監督業を数年続けてきて私はこの現場のいくつかの反省点、改善点に気がつきました。


100万円以上の赤字を出してしまった原因


 1.日当たりの施工量をオペレーターの勘に頼っていた


現場では毎日、「舗装版取壊し」から作業が始まります。毎朝、私はまず重機オペレーターに近づいてこう尋ねました。       

「今日は何本やります?」     

「今日はアパートからの雨排水の接続があるから、まあやれて2本かな」

オペレーターのその言葉を聞いて、私は前日の終点から4ⅿを測り、アスファルトにチョークでマーキングします。施工延長が60ⅿの側溝入れ替えですから、1日に6ⅿ(2ⅿ×3本)施工すれば10日、1日に10m(2m×5本)施工すれば6日で据付は終わります。しかし実際には天候による中止もあり、側溝入れ替えからインバートコンクリートの打設まで一連の作業が終わったのは20日後でした。1日当たりの施工量をオペレーターの勘に頼ってしまっていたら、結果20日経っていたということです。


 2.現場で使える限度額を知らなかった


1日の施工量がその日の朝に決まるわけですから、その日必要な砕石量も砂の量もまちまちです。2tダンプ2台で足りない日もあれば、2tダンプに砂が6分目まで残る日もあります。足らないよりは余る方がましということで、自社の置き場に中途半端に持ち帰っては新しくもう1台持ってきてという繰り返しで無駄が増えていきました。この現場で使えるお金の限度額を知らない私は、とにかく交通規制時間内にその日の作業を終えるという目標しかもっていなかったのです。 


赤字を出さないための対策


 1.現場の施工サイクルをタイムテーブルで考える


これには、重機の能力・ダンプの種類、使用材料、運搬距離、施工順序などを総合的に練る必要があります。当然予期せぬことも起こりますが、基本サイクルは毎日の作業の中で改善されていくことになります。

まず、あらかじめ決めておいた1日の施工量から「必要な砕石の量」「運び出す土砂の量」「現場近くに仮置場を設置できないか」などを検討して、将棋の駒のようにダンプを動かしてみます。流れを決め込んでいくのです。実際は、交通渋滞の発生する時間帯があったりするので、駒は思い通りに動かないかもしれませんが、基本が決まっていれば、改善はできます。


 2.現実的な実行予算を組む


これは、監督業を続けていれば必ず施工前に済ませていそうなことです。実行予算は日当たり施工量を決定する際、必須の作業です。それと同時に、見かけ上利益を出すために無理な日数で組み立てることもできる危険な書類でもあります。

私は実行予算を組む際にまず、多めの材料と多めの仮設費とスムーズに運ばなかった場合の日数で計算します。そして、会社経費として15%を差し引いた残りが一桁パーセントだった場合、もう一度、材料や日数を見直していきます。その際施工日数はできるだけ現実的なものにしていきます。経験と想像力が大切ですが、こんな時こそ場数を踏んだベテランオペレーターや作業員の方々の意見が重要だと思います。

「午前中に基礎砕石まで終わっていれば埋戻しまで時間内に終わる。」これは、今でも私が信じている先輩の言葉です。


初めての現場で私は、測量や仕上り、写真管理に留意するあまり「実際の作業サイクル」や「日当たり施工量」をベテランオペレーターの勘にゆだねてしまい、結果、赤字で終わりました。彼が提案してくれた“複数のダンプを少ない人間で動かす”というやり方は、とても良い現実的な方策だったと思います。

ただ、それを利益の出る形まで昇華できなかった自分の器量が、今では残念でなりません。

長年、一つの仕事を続けてきた職業人の中には、いろいろな知恵が詰まっています。それを安全で利益の出る現場につなげていくことができるように、日々精進していきたいと思います。

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この記事のライター
鹿児島県生まれ。大学では地域研究を専攻。
塾講師・海運業(離島航路)を経て、地元の土木会社に勤務。公共工事、民間工事の主任技術者、職長として現場で汗を流しながら、事務所では見積り、積算もやっております。
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