朝礼時に注意すること

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「現場監督の仕事は、段取り七分」なんて、新入社員の頃に先輩から言われたことがありませんか。

現場監督を続けて、まさに実感している言葉です。段取りをちゃんとやっておけば、仕事(作業)の七分は、もう終わったようなもの。現場担当のあなたは作業予定が決定してから、施工予定までの間に準備と手配を済ませておかなければいけません。

さて、段取りがうまくいったなら残りの三分の現場作業を円滑に進めるには、朝礼で作業員に作業の段取りを伝えなければいけません。今回は、朝礼時に注意しておくことを話したいと思います。


朝礼時に伝えること


作業箇所の確認


車で移動する場合は、地図を配布して場所を確認します。作業車やダンプなどの運転手には、きちんと作業場所が分かっているのか確認しましょう。移動経路もあわせて確認しておきます。朝礼時に、場所をきちんと確認しておいても現場の住宅街で場所が分からず、たびたび迷子になってしまう運転手の作業員もいるので注意が必要です。


安全施設の配置


作業を行う上での安全施設の説明をします。片側交互通行または、通行止めなど交通規制について説明し、工事規制看板などの配置場所などを指示します。口頭で説明しても分かりづらい時は、地図に看板の位置などを示して分かり易くする必要があります。さらに、交通量が多い道路を規制するときは、規制する順番など細かく打ち合わせしておく必要もあります。生活道路と幹線道路で作業するのは規制などでかなり違うものがあるので注意が必要です。作業員のみならずガードマンにも、交通規制について周知徹底しておかなければいけません。

安全施設に使用するカラーコーン・バー・矢印版の数量、そして看板の種類と枚数、看板の重しなどの必要な数を伝えます。

夜間作業では、照明や通称チカチカとよばれるLED警告灯などもそろえなければいけません。


人員の確認


作業予定の人員が揃っているか、作業員の健康状態の確認をします。最近では、人手不足から最低の人数で作業をおこなっている会社が多いのではないでしょうか。最低人数で行っているときに、1人でも作業員に休まれると大変なことです。人員を補充出来れば問題ないのですが、どうしても補充出来ないときは施工予定の変更もあり得るでしょう。

さらに、作業員の役割分担の確認をします。たとえばAさんは、4tダンプの運転手。Bさんは、作業車の運転手。Cさんは、重機のオペレーターと確認します。このあたりは直営で作業員を指揮している現場なら必要なことで、元請けの現場監督には必要ないことかもしれません。


作業手順の確認


大まかな作業の流れを話し、特に注意するところや確認するところをあらかじめ説明しておきます。作業に伴う工具類や小物など、特に車で移動する際には大事な工具や資材を忘れていないか確かめておきましょう。当日調達する資材(砕石・舗装合材)を取りに行く場所や残土捨場の場所などを説明して確認します。

掘削作業を行う場合は、事前に調査しておいた埋設物(ガス・上水道・電気ケーブル)の情報を重機オペレーターに教えておかないと断線などの事故になってしまうので忘れずに行いましょう。埋設物の確認は、現地についてからオペレーターにじっくり確認するのを勧めます。

高所作業が伴うときは、安全帯も忘れずに持ってゆきます。普段、高所作業を行わないことが多いとつい忘れがちになってしまうので注意が必要です。


KY活動

作業で起こり得る事故や災害について注意喚起します。KY用紙を持参して、KYをやりながら記入するのも良いでしょう。作業員やガードマンのサインが必要な時は、あわせてサインしてもらいます。経験の浅い作業員などには、個別に重機のすぐ後ろに立ったり、作業帯から出て作業したりしないよう注意します。


安全点検


4tダンプ、作業車などの車両点検は、目視で構わないのでやっておきましょう。ダンプの燃料や発電機に入れるガソリンなど、ちゃんとあるか確認しないと現場でスタンドを探す羽目になってしまい時間の無駄になってしまいます。

昼間の工事なら燃料がなくてもガソリンスタンドで燃料を手に入れられますが、夜間工事になるとガソリンスタンドも閉店していることが多いので昼間のように手配しておくことが難しくなります。事前に準備しておく必要があります。

朝礼で現場監督の意図していることがうまく伝われば、ほぼ工事はうまくいったようなものです。私も、新人の頃はうまく朝礼が出来なくて現場で大変なことがたびたびありました。何事も経験と積み重ねで、うまく朝礼が出来るようになるでしょう。

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この記事のライター
元は測量士で、今は土木の現場監督。北海道南西沖地震をきっかけに施工の現場管理へ転向。現在は、市民生活に欠かせないインフラの下水道工事を主に行っています。
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