現場監督が型枠大工をやってみた~下水本管修繕工事~

  • LINE

前の記事   次の記事


小さな会社の現場監督は、なんでもやらなくてはいけません。「現場の段取り」、「写真管理」、「役所との打ち合わせ」、「作業車の運転」、「足りない作業員の作業」など沢山あります。

この前は大工さんをやりました。まぁ、正しくは型枠を製作したのです。私が担当している工事は下水道の維持工事ですが、年に数回ある下水本管修繕工事の準備をすることになりました。下水本管と言っても、生活道路に入っているコンクリート管(φ300)のダメな管を抜き新品と交換する工事です。


下水本管修繕工事で必要な事前準備


下水本管は事前に、「①新設する管のツバ部分を半分切り落としておくこと」、また「②管布設後に防護コンクリートを施工するための型枠の準備」をしなくてはいけません。熟練工なら半日で準備できますが、不慣れな作業員だと1日掛かるような作業量です。

①の作業は、間にあわなければ現場でやってもいいかもしれません。しかし、型枠は現場では出来ません。

材料だけ用意して当日に型枠を製作していては工事に間に合わないので、事前に、必ず準備しておかないといけません。

あいにく大工作業が出来る作業員は他の現場に行っているのでいません。そうなると、現場監督が自ら大工さんをしなければなりません。まったくもってトホホ、、な展開。まぁ、実際の工事までに私は割と時間があったので、なんとか型枠が製作できました。


型枠製作で事前に準備した材料と道具


<材料>

材料
サイズ

胴縁
180cm×4.5cm×1cm
2本
コンパネ
10mm厚、1.8㎡
3枚
タルキ
4cm角、1.8m
2本

45mm
40~50本


胴縁は丁張に使用したものを再利用するので購入する必要はありませんでした。使用量は56cm×4cmなので、180cm×4.5cm×1cmのサイズのものを2本程度です。1本ずつ販売はされていないので、10本1束で購入します。コンパネは、最初5mm厚のものを購入しましたが、意外とペナペナで頼りなさそうなので、すぐに返品して10mm厚のコンパネに交換してもらいました。生コンを打設するので、ある程度の強度がないといけません。コンパネ1.8㎡のものを3枚、タルキは4cm角のもの1.8mを2本購入。釘は45mmの釘を40~50本程度でしょうか。一箱に約500本入り1kgの箱単位で購入します。

私は丁張でよく使う45mmの釘が多量にあるので購入しなくてもOKでした。


<道具>

道具
価格
鋸(細引き)
900円
電動丸鋸
700円 ※リース代


道具は、円形部分を抜くために細引きの鋸を購入しました。細引きの鋸は、引き回し鋸と呼ばれています。ドリルで穴をあけて、その穴に鋸を入れて引き回して円形に抜いたりする手引き鋸のことで、価格は約900円でした。電動工具であればジグソーと呼ばれるものですが、今まで使用したことがなく、使い方も分からなかったため今回は安価な引き回し鋸にしました。

またコンパネを真っすぐに切るために、電動の丸鋸をリースしました。リース代は、1日700円です。体力がある20代なら手引きの鋸でお金を掛けずに作業してもよいのですが、定年間近の私にはコンパネ3枚を、ズッツーと切り続ける体力はありません。


型枠製作の流れ



コンパネに赤鉛筆で寸法を入れ、ひたすら直線を切ります。管の部分の直線部分も電動丸鋸で切り落とし、丸の部分は、ひたすら引き回し鋸で切り落としていきます。型枠は2ついるので、管の部分を切り落とす部分は全部で4枚必要です。管の部分は、余裕をみて1cm大きく作っています。丸い部分はきれいに丸でなくても、隙間部分を『ドレンタイト』と呼ばれる防水接着剤で漏れの防止をするので、多少ガタガタでも機能的にはまったく問題ありません。


1.5日で型枠2つを製作


丸く切るのに手間取り、初日はあえなく終了。日の短い季節なので、早めに片付けないといけないので仕方ありません。翌日、切り出した部材を釘で打ち付けて、無事に型枠が完成しました。

補強のために角にはタルキを使います。また、生コンを流し込んだ後は蓋を打ち付けますが、コンパネだけだと薄いのでタルキをつけて厚みを増やしておきます。

1.5日で、型枠2つを製作しました。熟練工であれば半日で終わるところ3倍の時間がかかりましたが、作業員を使っていないのでその分の費用は掛かっていません。まぁ、セパを使う本格的な型枠でなく、埋め殺しの型枠なのでそれほどの精度は必要ありません。

形状的には写真のように入り口が2つある犬小屋なので私でも出来ると思ってやってみました。大変でしたが、今後の仕事に生かせます。やったことのない作業員にアドバイス出来る自信が出来ました。

【この記事を読んでいるあなたへ】

「型枠・木材」に関する製品・工法をお探しの場合はこちら

※本文内にある一部のキーワードをクリックすると、該当する製品・技術情報にアクセスできます。

この記事のライター
元は測量士で、今は土木の現場監督。北海道南西沖地震をきっかけに施工の現場管理へ転向。現在は、市民生活に欠かせないインフラの下水道工事を主に行っています。
『サガシバ』に会員登録して、匠の野帳をもっと便利に!
会員登録すると、最新記事の情報が受け取れる他、便利な使い方がたくさん!

RC.オガさんの匠の野帳をもっと見る

2020年03月10日 07:36 RC.オガさん
12 11
私たちが生業としている土木工事や建築工事では実際の工事を施工する前に、図面を起こして計画を立てなければなりません。発注先が役所なら、役所の担当職員が立案して測量と設計を発注します。まぁ、設計から積算を...
12 11
2020年02月26日 06:27 RC.オガさん
13 10
「現場監督の仕事は、段取り七分」なんて、新入社員の頃に先輩から言われたことがありませんか。現場監督を続けて、まさに実感している言葉です。段取りをちゃんとやっておけば、仕事(作業)の七分は、もう終わった...
13 10
2020年02月06日 04:12 RC.オガさん
10 5
最近では、手書きの図面から、すっかりCADに変わってしまいましたね。昔は、手書きの原稿を製図工に渡してインクを入れてもらい図面にしてもらいました。しかし、最近では図面にインクを入れてくれる製図工のお姉さ...
10 5
2020年01月17日 00:53 RC.オガさん
9 8
現場監督に必要なスキルとはなんでしょうか。今回は、現場監督が自ら作らなくてはいけない書類について、それに必要なスキルとはなにかについて話したいと思います。土木の書類は、エクセルパソコン全盛の今、パソコ...
9 8
2019年12月18日 01:33 RC.オガさん
10 9
映画「バーニング オーシャン」は、2017年に公開されたアメリカ映画。2010年メキシコ湾原油流失事故が題材となった災害パニック映画になります。原油掘削工事の事故を扱った映画で、地味なのか人気がなく3週間ほど...
10 9
2019年12月02日 05:21 RC.オガさん
10 7
今回のテーマは建設業界の最新技術、とくに現場監督に求められ写真管理について語ろうと思います。フィルムカメラからデジタルカメラへ私が、土木業界に転職したころは、まだフィルムカメラ全盛でした。現場で撮影し...
10 7
2019年11月14日 06:34 RC.オガさん
13 11
最近の土木業界の動向で前回は、現場監督(職員)の話をしましたので今回は、工事現場で働いてもらう作業員さんについて話したいと思います。土木作業員の会社での人数現場の仕事によって作業員さんの人数は、変わっ...
13 11
2019年10月28日 01:47 RC.オガさん
12 8
現場監督のRc.オガです。土木業界で飯を食い、驚くことに20年もの歳月が過ぎてゆきました。私も、あと3年ほどで60才の定年を迎えます。定年後は、悠々自適に趣味の模型製作に励みたい、、、なんてことが言えないほ...
12 8
2019年09月30日 06:09 RC.オガさん
22 18
さて、今回のお題は「現場でのちょっとした工夫」。土木の監督稼業をやって20年の私が実践してる工夫や現場における心がけをご紹介しましょう。時間は有効にお金持ちもビンボーも時間を持て余している人も身体がいく...
22 18
3ページ / 3ページ中
会員登録(無料)