現場監督に必要なスキル ~測量~

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工業系の学校を卒業された方は、測量の授業が行われていると思います。しかし、工業系ではない、文系の普通科を卒業された方は測量なんてやったことがなくて、とても違和感があると思います。今回は現場監督に必要なスキルとして、異業種から建設業界に転職したかた向けに測量についてお話したいと思います。



土木工事における測量



役場の工事を受注すると、設計書と図面、そして特記仕様書が与えられます。工事担当者は、その設計書・図面・特記仕様書を読んで、工事内容を理解しなくてはいけません。

例えば、道路工事を請け負った場合に必要になる測量は、

  • ベンチ(KBM)の高さ確認
  • 道路中心線(CL)の確認

多角測量が行われている場合は、

  • トラバー点の確認など

図面と現地があっているのか確認作業をしなくてはいけません。さらに、工事によっては現道から大幅に線形が変更され、畑や山など道がないところに道路を新設することもあります。

請負金額が数億円の工事ともなると、測量全部を外注することが多いです。しかし、請負金額が少ない工事では、ほとんどの工事を現場監督自らが測量しなくてはいけません。


①設計図に示されている「BMの高さがあっているか」確認する

発注する役所が事前に行った測量の資料では、工事用の図面にBMが表示されています。BM間の水準測量を行い、「誤差範囲内に収まっているか」を確認します。許容誤差範囲内でない場合は、違う水準点から高さの確認をしなくてはいけないため面倒なことになります。誤差の範囲は、10√Sで、大まかには1kmで10mmまでの誤差ならOKです。


現場では、縦断測量のことを“レベルを掛ける”と言っています。高さを求める道具は、「レベル」と「スタッフ(ロッド)」です。土木工事の会社で行う測量であれば簡易的なものでよいので、「オートレベル」と「横断スタッフ」を通常使用しています。

工業系の学校であれば、レベルとスタッフで高さを求める測量の実習を行っているハズなので、戸惑うこともないでしょう。しかし、違う分野から土木に職替えされた方には、とても高いハードルでしょう。

  • 機械の扱い方
  • スタッフのメモリの読み方
  • 野帳の書き方
  • 計算方法など

覚えることがたくさんあります。どれもこれも経験しないと出来ないことです。私の場合は、測量専門学校を卒業して測量会社に就職もしていたので、測量の基本的なことはマスターしています。測量が出来ない人は、会社の先輩などに教えてもらい出来るようにマスターしなくてはいけません。土木工事現場によくある丁張やトンボなど、レベルが扱えないと設置するのは不可能です。


②中心線測量で中心線を確認する


中心線の線形が変更される場合は、新しい点を現地に設置しなくてはいけません。中心線測量をしなくてはいけないので、「トランシット」と「ポール」そして「テープ」が必要になります。変更された点は、「中心線から振り込むのか」それとも「トラバー(多角)点から振り込むのか」設計図や現地をみて決めなければいけません。トラバー点から振り込む場合は、座標計算を理解していないとできません。これは、かなり高度になるのでなかなか独学で覚えるのは難しいと思います。

角度を振るトランシットもレベル同様に扱い方を覚えなければ使えません。レベル以上に精密機械のため、取り扱いが荒っぽいとすぐに測定が狂います。丁寧に扱わなければいけません。トランシットも、レベル同様に良く使える先輩に教えてもらわなくてはいけないでしょう。高さの取り間違いや角度の振り間違いなどで、あらぬ方向へ道路が出来てしまわないように、所々でチェックするようにしなくてはいけません。

測量科のある専門学校では、1年の通学で測量士補の資格まで取得できるところが多くあります。年齢が若く、測量の資格を得たいのならとてもよいと思います。夜学もあるようなので、会社勤めをしている方でも通学可能なところがあるので、少しでも興味を持たれた方は調べてみることをお勧めします。

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この記事のライター
元は測量士で、今は土木の現場監督。北海道南西沖地震をきっかけに施工の現場管理へ転向。現在は、市民生活に欠かせないインフラの下水道工事を主に行っています。
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