工事着工前に実施すること

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今回は、工事着工前に実施することについて考えてみます。



施工計画書と予算書は必要か



工事を受注して一番初めに行うことは、発注された役所との打ち合わせです。最初の打ち合わせは顔合わせのようなものでしょうか。名刺交換をして、簡単に工事内容を確認します。

施工計画書が必要な工事であれば、さっそく作成に取りかかります。工事現場の踏査では、カメラで必要なところを撮影しておきます。
少額工事の場合は、施工計画書が必要ないこともありますね。

次に工事の日程を考えます。工事は決められた工期で完成しなくてはいけません。突貫工事は予算オーバーとなってしまうので、余裕を持った工程が必要になります。工期は、あらかじめ余裕が見込まれているので、計画通りに進んでいればきちんと終わるようになっています。もし工期内に終わらないようでしたら、どこかに問題があることが考えられます。
工程を決めて、予算を出さないといけない会社もあるでしょう。せっかく落札して取った工事なのに、計画段階の予算書で赤字寸前のような工事もあるかもしれません。自社に施工班がなく、施工をすべて外注に任せて、管理のみをやっている会社は利益が多くありません。


外注先・レンタル品などの予定と連絡



工事着工前には、必要な作業員と機材、そしてガードマンや重機など、外注の手配をしなくてはいけません。

  • 自社の作業員で工事が出来るのか
  • どこか下請けにだすのか、それとも貸人夫で間に合うのか
  • 資材置き場の確保が必要か
  • 資材置き場なしで施工するのか
  • 資材置き場が確保できたなら現場事務所や休憩所などのスーパーハウスも設置するのか

など、実に様々なことを短期間で決めなくてはいけません。お金が絡んでくるので、社長にお伺いを立て無くてはいけないこともあるでしょう。

ガードマンを頼み忘れてしまっただけで交通規制が出来ずに工事が出来なくなってしまうので、うっかりミスは厳禁です。監督初心者の方は、注意しましょう。


調査と届出


①道路使用許可

道路工事の場合は、工事個所を管轄する警察署へ道路使用許可を提出します。窓口に書類を提出して、許可されるのは中一日後からです。つまり、月曜日に提出したのであれば、水曜日に許可が出るということです。道路使用許可の期間は、申請した日から約三ヶ月です。そのため、半年から数年かかる長期の工事現場は、何回も道路使用許可を出し直さなくてはいけません。
国道などの工事の場合は、より詳しい保安施設図の提出を求められることもあります。


②地下埋設物の調査

都市の地下には、様々なインフラが埋まっています。図面などの情報から、地中にどんな埋設物があるのか、予測して掘削を行わなくてはいけません。上水道やガス管など、破損させる事故を未然に防ぐためにも重要なことです。重要な埋設物が掘削箇所にある場合は、調査の際に、埋設物の持主に立ち合いをしてもらわなければいけません。ガスや上水道であればすぐに協議ができるので、それほど面倒なことではありません。工事予定が決まっているのであれば立ち合いをしてもらい、決まっていなければ後日、忘れずに連絡をします。
埋設物の中には電力会社とNTTのケーブルもあります。どちらもネットで調査出来ます。電力会社の埋設ケーブルがあった場合、電力会社の地下埋設物を調べる部署に赴いて図面について協議をしてこなければいけません。仕事が立て込んでいるときは、時間を作る余裕がなくとても大変です。

NTTの場合は、すべてネットと電話で完結します。NTTのほうが電力会社よりも融通が利いているのは、はやくから民間企業になったからでしょうか。


住民へのPR



工事着工前には、近隣住民に工事を知らせるため「工事のお知らせ」のチラシを各戸に配布します。施工延長が長い工事の場合は、配布するだけで大変です。100枚くらいの配布ならすぐに終わってしまいますが、500枚や1000枚となると数人に配布してもらわないと配り切れないこともあります。


以上、工事着工前にするべきことを書きだしました。実際の工事に取り掛かる前には、するべきことがたくさんあります。私も仕事に慣れていないときは、うっかり忘れて冷や汗をかくこともありました。メモに書きだして処理したことにチェックを入れていけば忘れることはないでしょう。皆さんの参考になれば幸いです。

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この記事のライター
元は測量士で、今は土木の現場監督。北海道南西沖地震をきっかけに施工の現場管理へ転向。現在は、市民生活に欠かせないインフラの下水道工事を主に行っています。
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