生コン打設がメインの構造物を作る工事では1回1回の生コン打設が重要になってきます。生コンを打設するには、打設前に生コン打設計画書を作成しなくてはいけません。計画書には、人員数や打設量、現場の見取り図などを作成します。さらに、生コン会社に打設日を連絡し、アジテーター車やスランプ試験といった現場試験の手配に加え、作業員も確保しなくてはいけません。事前に手配しなくてはいけないことが多いので、打設日から14~10日前までに手配を終えていないといけないかもしれませんね。
生コン打設の大きな流れは上記の通りです。今回は、打設日に実施する「5.打ち込み」「6.締固め」「7.仕上げ」について、詳しくお伝えします。
作業員 | 人数 | 役割 | |
1 | 作業指揮者(世話役) | 1 | 生コン作業の管理 |
2 | 打設員 | 1 | 生コンを型枠に打設する |
3 | 荒均し員 | 1 | レーキやスコップで生コンを均す |
4 | バイブレーター操作員 | 1 | |
5 | 小手均し員(仕上げ) | 1 | 左官コテで高さを整えて仕上げる |
作業員は、作業指揮者、打設員、荒均し員、バイブレーター操作員、小手均し員の最小5人で1班の構成です。打設量に応じて増やさなくてはいけません。
作業指揮者は、作業を監督する立場なので打設作業に加わらず作業を管理します。また打設員は、打設用ホッパー、ネコ運搬、シュートなど打設方法によって増員する必要があります。小手均し員は、作工物によって仕上げ方が違うので本職の左官屋さんに頼む場合もあります。一度左官仕上げしてから、もう一度左官仕上げをして終わりです。
生コンクリートは練り混ぜてから打設が終わるまでの許容時間が定められています。外気温が25℃以下なら120分以内、外気温が25℃を超えるなら90分以内に終えなくてはいけません。
練り混ぜから打ち込み終了までの時間
外気温 | 時間 |
25℃以下 | 120分以内 |
25℃を超える | 90分以内 |
生コンクリートの打ち重ね時間は、「2層以上コンクリートを打設する際に、上下の層が一体となるために守らなければならない時間」です。コンクリートを二層以上に分けて打ち込む場合、外気温が25℃以下なら150分以内、外気温が25℃を超える場合なら120分以内に終えなくてはいけません。打設の間隔があいてしまうとコールドジョイントとなってしまい、ひび割れや漏水の原因となり構造物の耐久性を低下させることになります。
打ち重ね時間間隔の基準※
外気温 | 時間 |
25℃以下 | 150分以内 |
25℃を超える | 120分以内 |
※施工条件や発注者からの要望、社内での決まりによって異なるため、関係する使用者で確認する必要があります
打設する箇所をあらかじめマーキングすることを推奨します。一か所から打設してバイブレーターで横流しすると、材料分離の恐れがあります。目安として3m/箇所程度打設口を設けるのが望ましいです。その際は、目立つ色のテープでマーキングしたうえで、ポンプ筒先保持者と事前に打ち合わせを行います。
1層目の打設の高さは30cmとします。1層目は受入検査や打設準備などで時間を要することから硬めの生コンになるので、ゆっくり打設し十分にバイブレーターを掛けます。
2層目以降は50cm以下で打設するようにします。バイブレーターが届く厚さであることと、打込み高さが高すぎるとブリーディングが増えるため、一層の高さに制限があります。
1時間で2~3m程度にするのが適当です。吐き出し口からの高さは1.5m以内とします。これ以上の高さでは材料が分離してしまうので注意しましょう。
挿入間隔は50 cm以下にし、下層にバイブレーターの先端が10cm程度入るまで垂直に挿入します。
振動時間は、コンクリート表面にセメントペーストが浮き上がるまで行います。5~15秒/箇所程度が目安です。
再振動は、コンクリート強度・密度を高める効果があるので是非ともおこなうことを勧めます。生コン充てん後にコンクリートが落ち着いたら、指を入れてみます。差し込み指の跡が残るような固さになり、指のぬき跡に水がたまったら再振動を始めます。
生コン打設後の仕上げ面に、水が浮き出てきます。これは「ブリーディング水」と呼ばれるもので、除去しないで放置しておくとコンクリートの仕上がりに悪影響を与えます。そのため、スポンジなどで吸い取り除去します。この時、レイタンスも悪影響を与えるので取り除いておきます。
水平面と鉛直面で方法が違います。水平面では生コンの仕上げ完了後に、凝結遅延剤を散布して時間をおいてハイウォッシャーで洗い出す方法が一般的です。鉛直面では型枠にあらかじめ専用のシートを張り付けて、脱型後に洗い出すような方法がとられます。
以上、生コン打設の位置の流れでポイントを説明しました。打設後の養生が悪いと、せっかく良い生コン打設をしても台無しになってしまいます。打設時の天気や温度に注意して養生すれば、良い構造物が出来るでしょう。
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