ICT施工の3Dモデリング・設計について

  • LINE

前の記事   次の記事


公共工事、特に国発注の工事は近年、ICT受注型や施工者希望型で発注されています。これに伴い、施工会社が2次元図面を3D化する機会が増えていますが、実際はハードルが高く、協力会社に3Dモデリングを頼むケースが多いです。しかし協力会社に依頼するにもコストが嵩むため、自社で行うことが求められ始めています。

そこで今回は、私が行ったICT施工の3Dモデリング・設計について紹介します。


ICT施工における3Dモデリング・設計の流れ


<簡単なICT施工の流れ>

  1.  UAV・レーザースキャナーによる起工測量
  2.  3次元設計データの作成
  3.  マシンコントロール(MC)・マシンガイダンス(MG)重機による施工
  4.  UAV・レーザースキャナーによる出来形管理
  5.  電子納品

大まかには上記のような流れになります。

従来の施工とICT施工を比べた時に、施工業者が大きく変わるのが「3次元設計データの作成」になると思います。3DモデルはBHなどの重機をコントロールするために必ず必要となり、モデリングするソフトも数多く出ています。図面から位置を計算して丁張をかけていた作業部分がモデリングに代わることで、施工業者はこれまでとは違う技術が求められるようになりました。


道路土工と河川土工の3D設計



私は、3年前に護岸工事でICT施工を行いました。当時はまだICT施工を行った施工業者が少なく、手探りの状態だったため、UAVの起工測量からMCのBHまで協力業者にお願いをしていました。最近ではICT施工の実績が増えたことや、3Dモデリングソフトが普及してきたことから、施工業者が起工測量から3D設計、施工、納品まで自社で行うことが多くなってきました。

道路土工や河川土工の場合、3D化は平面図・縦断面図・横断図から行います。法線を作成し、縦断面図より縦断要素を計算、各測点の横断面図より要素を抽出し構成するという流れです。


3Dモデリングソフトの紹介


3Dモデリングソフトは様々ありますが、私が使ったことのあるソフトを紹介します。

 1.EX-TREND武蔵- 福井コンピュータ

 2.TREND-CORE(トレンドコア) - 福井コンピュータ

ICT施工を行う際に3Dモデリングをしている協力会社に聞いたところ、このソフトを使っている方は多いようです。図面をなぞりながら作るため、直感的な操作がしやすいことや、3断面からモデリングできるので汎用性が高いです。

 3.SiTECH 3D(サイテック3D) – 建設システム

このソフトは、土木に特化している印象です。平面図縦断面図・横断面図がしっかりとしていれば、モデリングはしやすいと思います。操作は慣れないと難しいところはありますが、サポートに電話しながら作業すれば問題ないですし、私も実際に最初は教えてもらいながら作業してきました。

会社によっては、基盤ソフトウェアとの互換性もありますので、それらを考慮しながら使っていくといいと思います。


3Dモデリング・設計時の注意点



モデリングの注意点は、横断図をそのまま映すのではなく“現場に即した線を描く必要があること”です。照査の段階で「横断図が正しいのか」、「縦断面図の計画高はあっているのか」などについて確かめないと、施工する際に誤った位置から切ってしまうことや過掘りをしてしまうこともあります。3D化したときに、ゆがんでいたり、線がつながっていなかったりする時は間違いがあるのでチェックしましょう。


最後に


実際にモデリングをすると難しいですし、BHに入れて動くまではとても不安になります。しかし、今後は必ず施工者に対して3Dデータを扱う技術が求められてきます。発注のデータが最初から3Dとなることもあるでしょう。その時ためにも、今から勉強してく必要があると思います。社内であまりできる人がいない時にできるようになると頼られますし、少し優越感に浸れます。ぜひ3Dモデリングにチャレンジしてみてください。

【この記事を読んでいるあなたへ】

「IT・ソフトウェア」に関する製品・工法をお探しの場合はこちら

※本文内にある一部のキーワードをクリックすると、該当する製品・技術情報にアクセスできます。

この記事のライター
プロフィール情報が登録されていません
『サガシバ』に会員登録して、匠の野帳をもっと便利に!
会員登録すると、最新記事の情報が受け取れる他、便利な使い方がたくさん!

once11さんの匠の野帳をもっと見る

2021年02月10日 02:10 once11さん
13 10
高度経済成長期にさまざまなインフラが整備され、今はそれらを改修する時期になっています。当時は、周りに建物などが少なく施工もしやすかったと思いますが、現在は、建物や地下埋設物といった支障となるものが多く...
13 10
2020年12月16日 01:53 once11さん
12 9
日本の大手ゼネコンは、東南アジアを中心に海外進出しています。近年では中小企業も進出していて、国交省が去年ガイドラインを出しているほどです。今後も日系企業の海外進出が続くとも言われていますが、日本と海外...
12 9
2020年08月05日 00:45 once11さん
12 10
2020年2月から日本でもコロナウイルスが騒がれ始め、様々な職種に大きな影響を与えました。もちろん、建設業界もコロナ対策をしながら事業を続けている状態です。そこで今回は、新型コロナウイルスが地域建設業に与...
12 10
2020年07月08日 00:51 once11さん
9 8
公共・民間に関わらず工事をする際は近隣住民と必ず関わります。そのため今回は、近隣住民との付き合い方について解説していきます。騒音や振動などで迷惑をかけるときや、借地などで協力を呼び掛けるときもあります...
9 8
2020年07月01日 00:42 once11さん
14 11
前回は土木の基礎となる盛土工について紹介しましたが、今回は切土工について紹介したいと思います。切土とは盛土が上載荷重を支えるために土砂を積み上げるものだったのに対して、切土は土砂をほぐして撤去する工事...
14 11
2020年06月03日 03:58 once11さん
10 8
道路工事やトンネル工事が土木工事と言われているように、土を扱うことがほとんどです。そのため、土工は大変重要な工種となっています。今回は、その中で土木の基礎となる盛土について紹介します。盛土の役割盛土の...
10 8
2020年04月30日 06:03 once11さん
9 8
土木工事は本施工を始める前に、準備工や仮設工を行い作業場の確保をして作業性・安全性の確保を必ず行います。仮設工がしっかりと計画され適切に施工されれば、本工事をスムーズに行うことができ、工期の短縮にもつ...
9 8
会員登録(無料)