「Park-PFI」とは?導入事例や体験談も紹介

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「Park-PFI」という言葉をご存じでしょうか?Park-PFIは、にぎわい創出を目的として都市公園に民間活力を導入するための制度のひとつで、別名「公募設置管理制度」とも呼ばれます。近年、都市公園に限らず、公共施設に民間活力を導入する手法がよく使われており、公園や公共施設のにぎわい創出につながっています。

今回は、Park-PFIの具体的な内容や導入事例、他の民間活力導入に関する制度との違いについて解説します。


Park-PFIとは



「Park-PFI」とは、官民連携手法のひとつで、都市公園において飲食店、売店等の公園施設(公募対象公園施設)の設置又は管理を行う民間事業者を、公募により選定する手続きのことです。簡単に言うと、公募で手を挙げた民間事業者が、行政で所有・運営する公園内にレストランやカフェなどを整備・管理・運営するとともに、その周辺の園路や広場などを整備・改修する制度です。


(国土交通省「都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用ガイドライン」)

民間事業者が公園内の一部で事業を行うことで、行政の経済的な負担や管理者負担が減る一方で民間事業者は収益をあげることができるというwin-winな関係を築くことができる上、民間活力により公園がにぎわい、地域活性化にもつながります。

Park-PFIは平成29年に都市公園が改正された際にできた制度で、まだ導入事例は多くありません。それより前から都市公園に民間活力を導入するための制度は、

  • 指定管理者制度
  • 設置管理許可制度
  • PFI制度

などいくつかありますが、それぞれ根拠となる法律や事業期間の目安、事業の規模などの違いがあります。「Park-PFI」と民間事業者が公園施設を管理して指定管理料を受け取る「指定管理者制度」を併用する場合も多いです。

Park-PFIの大きな特徴は、民間事業者がカフェなどの公募対象公園施設のほかに、園路や広場などの特定公園施設を整備しなければならないという点です。特定公園施設は園路や広場が多いですが、公園によって様々で、公募時に行政側が提示します。特定公園施設の整備・改修費用は、行政側が一部を負担してくれます。他にも、Park-PFIは、設置管理許可の期間が通常の設置管理許可制度に比べて長く設定されていたり、建蔽率を上乗せできたりするなど規制緩和措置があり、安定した事業が行えるようになっている点も特徴的です。


Park-PFIの流れ


Park-PFIは以下の流れで実施します。


最も重要なポイントは、マーケットサウンディングです。「応募してくれそうな民間事業者がいるか」、「民間事業者が公園で事業をするとすればどのような事業を想定するのか」などを民間事業者に直接ヒアリングすることで、参入の意思や事業内容を把握でき、有効な提案がもらえるような公募内容を検討できるためです。


Park-PFIの活用検討業務で感じたPark-PFIの課題



私が担当した業務で、Park-PFIの導入を検討した経験があります。業務では、発注者から指定された4公園に対してPark-PFIの導入可能性を検討した上で、導入すべきと判断した公園の公募管理設置指針のたたきを作成しました。

基本的には、国土交通省が作成した「都市公園の質の向上に向けた Park-PFI活用ガイドライン」に沿って進めていきますが、行政側の意見とマーケットサウンディングによって把握した民間事業者側の意見は食い違う部分も多いため、両者の意見を踏まえてPark-PFI制度の導入可否を検討するのが難しかった記憶があります。

実務の中で課題として感じたのは、地元企業よりも豊富な実績と資金力を持つ大手企業が選ばれやすい点です。実際、今までのPark-PFIの事例を見ると大手のカフェチェーンを設置する事例が圧倒的に多い印象があります。公募対象公園施設の他に特定公園施設を整備する必要があるため、イニシャルコストが高く、資金力のある大手企業が選ばれやすいのだと考えられます。また、制度が出来てあまり時間が経っていないため、行政側に経験豊富な担当者が少なく、参考にできる事例も少ないことから、知識や経験が豊富な人材の育成が大事だと感じました。


Park-PFIの事例 



(Park-PFIを適用して整備した南池袋公園のカフェ)

勝山公園(福岡県北九州市)は全国で初めてPark-PFI制度が活用された事例で、コメダ珈琲が設置されています。特定公園施設としてベンチやパーゴラなどの休養施設が整備されました。

参考:勝山公園公式サイト

Park-PFIではカフェを設置する事例がかなり多いですが、大蓮公園では、カフェ併設の私設図書館、ルーフトップバーベキュー施設、キャンプサイト、ライフスタイル相談拠点など複数の施設を公募対象公園施設として設置し、駐車場や自転車コースなどを特定公園施設として整備しています。

参考:ENJOY大蓮公園サイト

他にも、名古屋中区に位置するHisaya-odori Park(旧・久屋大通公園)では、24棟(35店舗)にも及ぶ物販・飲食・サービス施設を公募対象公園施設として設置しました。

参考:Hisaya-odori Park(久屋大通公園)サイト


まとめ



Park-PFIを活用してにぎわっている公園は増えてきており、この先もどんどん増えていくと思われます。公園に限らず、民間活力を導入して先進的なデザインや効率化したサービスを提供する市役所などもあり、公共施設全体が地域に開かれ、気軽にふらっと立ち寄れる場所にもなってきています。

官民連携手法には多くの種類や制度があるため、対象となる公共施設の特徴や持っているポテンシャルによって適用すべき制度を検討するのが大切です。官民連携事業に携わっている人は、にぎわっている公園や公共施設に行った際、「なぜこんなににぎわっているのか」、「どのような制度が使われているのか」を調べてみてはいかがでしょうか。

この記事のライター
大学では造園・都市計画を専攻。新卒で建設コンサルタントに入社し、5年ほど都市計画・公園設計の業務を担当。情報発信を通じて建設業界で働く方々の力になりたいと考えています。
趣味は公園の芝生でのんびりしながら読書すること。
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