前回、公園実施設計業務の流れについて解説しましたが、今回は公園施設長寿命化計画策定業務について解説します。基本的には、国土交通省の「公園施設長寿命化計画策定指針(案)」に従って進めていくため、高度な知識や技術はそれほど要りません。公園施設長寿命化計画を策定している自治体は、ホームページで計画概要を公開しているため、自分が住んでいる自治体のホームページでぜひチェックしてみてください。子供の頃によく遊んでいた思い出の公園も計画に組み込まれていると思います。
長寿命化計画は、高度経済成長期に大量に整備されて一斉に老朽化が進行している社会資本について、現在の劣化状況を調査し、今後の補修や更新のタイミング、予算に関する長期的な計画を策定することで、利用の安全確保、補修・更新・維持管理などにかかるトータルコストの縮減、ライフサイクルの延長を実現するためのものです。
以下より長寿命化計画策定業務の流れを解説していきます。
公園施設長寿命化計画の現地調査は、実施設計業務の現地調査とは異なり、計画の対象とする公園に存在するすべての施設の劣化具合などを調査していきます。調査対象となる施設は数千にも及ぶことがあるため、現地調査だけで数か月程度が必要になります。特に、遊具など徹底した安全管理が求められる施設は、規準に基づいた入念な調査が必要で、調査ミスや漏れがないよう注意する必要があります。
現地調査を終えたら、計画を立てるために必要な条件を設定していきます。設定する主な条件は、計画対象施設の更新・補修にかかる費用、更新や補修が必要になるまでの年数などです。数千もの計画対象施設に対してひとつひとつ設定する必要があるため、骨の折れる作業です。会社によって条件設定の方法は異なると思いますが、私はExcelを利用して設定していたため、Excelの機能についてかなり詳しくなりました。
条件設定を終えたら、いよいよ計画を策定していきます。数千もの施設を対象に、補修・更新のタイミングやそこでかかる費用を計算して10年間分の計画を立てます。主な作業内容は、各施設の劣化度に応じて、適切な補修・更新のタイミングを設定していくとともに、年度ごと、公園ごとに補修・更新にかかる費用を合算していく作業です。人の手で作業をするとかなりの時間を要するため、会社で独自開発したシステムを用いていました。
計画を策定した後は、予算の平準化を行います。10年間の計画期間の中で、補修・更新に要する費用が各年度で同等程度になるように、施設の優先度を設定して、補修更新のタイミングを適切な時期にずらしていく作業です。優先度の設定に際しては、各施設の利用頻度や各公園の人気度など様々な観点から考える必要がありますが、個人的には長寿命化計画策定業務の中で最もやりがいのある工程だと思っています。
公園施設長寿命化計画策定業務は、内容が比較的理解しやすいですが、作業量が多い業務でもあります。いかに効率よく作業が進められるかを考えさせられる業務であるため、社会人としての基礎力を鍛えることができる業務だと感じています。
これまで、2回にわたり建設コンサルタントの業務の流れを解説してきましたが、建設コンサルタントの仕事には他にも様々な業務があります。若手のうちは、初めて担当する業務ばかりであるため、分からないことだらけで大変ですが、技術者として成長していくには一にも二にも経験が重要です。あまり大きな声では言えませんが、特に失敗やミスは大きな学びとなります。若手のうちは、先輩や上司を思いきり頼って、未経験だからと物怖じせず、楽しむ気持ちを最優先して業務にチャレンジしてみてください。