公園の長寿命化計画策定業務の体験談

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建設コンサルタントの主な仕事は、行政が道路上下水道公園などのインフラを整備するにあたって、調査や計画、設計を行うことです。また、行政のサポート役としての役割もあり、近年よく行われている民間活力導入事業に関しても行政と民間事業者との架け橋として重要な役割を担っています。

さまざまな分野で多岐にわたる業務をこなす建設コンサルタントの仕事では、どれひとつとして同じ業務はありません。

私は新卒で建設コンサルタントに入社し、約5年間で10を超える業務に携わってきました。今回は、私が入社4年目に担当していた公園の長寿命化計画の策定業務の中で印象に残っている体験談をご紹介します。


体験談 本編



 発注者からのクレーム

当時担当していた公園の長寿命化計画策定業務では、60~70か所程度の公園を対象に公園内のすべての施設の写真を撮って劣化具合を調査していたのですが、調査報告書(暫定版)を提出した直後に「劣化具合に問題なし」と報告していた遊具が破損するという事態が発生しました。

当然、発注者より連絡があり、「問題ないと報告を受けていた遊具が壊れたが、正確に調査をしているのか」と苦言を呈される事態となりました。幸いけが人は発生していないのですが、けが人が発生していれば重大な責任を負うことになっていたと思います。

発注者からの連絡後すぐに業務の関係者で会議を行いました。調査時の状況を確認しましたが、調査をした本人も多くの時間をかけて大量の施設を調査しているため、その遊具の破損部分は本当に問題なかったかの記憶が残っていませんでした。基準に従った調査を行ってはいたものの、破損部分に焦点を当てて撮った写真はなかったため、調査時点で壊れる予兆があったのかどうか、真相は謎のままに終わってしまいました。

まだその遊具が設置されて間もないことや全体写真が劣化していないこと、調査をした本人は普段から几帳面でしっかり者であることから、無理な使い方をした人がいたのではないかとも考えられるのですが、証拠として写真を撮っていないため、正確な調査をしていた証拠を見せることができませんでした。

結果、同類の遊具すべてを再調査することとなり、想定よりも多くの労力を費やしてしまいました。

もちろんしっかり調査はしていただけに、悔しい思いをした覚えがあります。この失敗から、「業務を正確にこなしていたことを証明できる証拠を残しておくことの重要性」を痛感しました。

今回紹介したケースだと、細かく写真を撮っておけば遊具が壊れかけていた場合すぐに気づいたはずですし、無理な使い方で壊れてしまったのであれば、写真を発注者に提示することで、納得してもらえていたはずです。今回のケースに限らず、現地調査での構造物寸法の計測値や構造計算の過程など、細かく記録を残しておくことで、業務成果の質向上につながることだけでなく、自分の身を守る盾となってくれます。

 クレーム対応が社内表彰に

実は、この話には続きがあります。

今回の業務では、遊具が破損した際に、直前に行っていた調査での破損部分の写真を提示できず、記憶があいまいだった点はこちら側に非がありますが、契約書や調査基準に沿って業務を進めていたため、厳密にいうと同類の遊具すべての再調査までする必要はありませんでした。

しかし、発注者側に「本当にしっかり調査をしているのか」という不信感が芽生えた以上、再調査をしなければ信頼は回復できないという考えから、担当者間で会議をして再調査を決断しました。

これが功を奏し、成果納品後、営業担当者を通じて、遊具破損後の対応に関するお褒めの言葉をいただき、社内で表彰されることとなったのです。

発注者側の担当者が優しく丁寧な方だったこともありますが、不測の事態が起こってもすぐに対応を行い、信頼を回復することができた点が評価されたのだと思います。


体験談 おまけ編



おまけの体験談も紹介します。

 発注者から毎日のようにかかってくる電話

今回紹介した業務では、発注者側の担当者が長寿命化計画策定に関わったことがなかったようで、毎日のように質問の電話がかかってきていました。対応は大変でしたが、頼られていることがやりがいにもつながりました。建設コンサルタントの業務は、発注者側の担当者によって、一切口を挟まず建設コンサルタントにおまかせの人もいれば、毎日のように意見や質問をくださる人もいるため、担当者によって作業の内容や対応が大幅に変わるのもおもしろい点です。

 現地調査のついでに公園の遊具遊び

公園の現地調査をしている際、変わった遊具を見かけた時に少し遊んでみることがあり、童心に帰ることができました。

 現地で名物料理を堪能

今回の業務は、対象の現場が遠方であったため、現地調査や打合せのついでに現地の名物料理を食べることが楽しみでした。仕事がなかったら行く機会がないような場所であったため、名物料理を食べたり、自然豊かな景色を見たりすることは、日々の疲れや長時間の移動の疲れを吹き飛ばすほどのリフレッシュ感がありました。


まとめ


 

建設コンサルタントの業務は多岐にわたるため、数々の業務をこなしてきた熟練の技術者は皆、貴重な体験談や驚くようなエピソードを持っているのではないかと思います。

建設コンサルタントで働かれている方は、ぜひ先輩技術者にどんな体験談があるかを聞いてみてください。きっとびっくりするようなエピソードが飛び出してくると思います。


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この記事のライター
大学では造園・都市計画を専攻。新卒で建設コンサルタントに入社し、5年ほど都市計画・公園設計の業務を担当。情報発信を通じて建設業界で働く方々の力になりたいと考えています。
趣味は公園の芝生でのんびりしながら読書すること。
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