連載第6回目は、株式会社土木管理総合試験所の「DK note」記事より「試験調査会社が開発した自動試料分取装置とは?」を掲載いたしました。
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砂防事業では、砂防工事の現場発生土砂を使用する砂防ソイルセメント工法が普及しています。
土木管理総合試験所では砂防ソイルセメント工法について、「土砂の利用可否判定方法」の特許を取得しました。
現場の土と水とセメントの3つを混ぜて固めたものをソイルセメントと言います。現場にあるものを使って構造物を作るという流れは今後もっと普及していくのではないかと思います。
ソイルセメントは、土と水とセメントの3つを混ぜて固める際に、土に様々な有害物質が入っていたり、土が柔らかかったりすると土が硬化しないということが起こります。
現在、硬化するかしないかの判定は、実際に3つを混ぜて固めてみないとわからないのが実態です。当社で特許化した判定方法は、微生物量に注目することで、実際に混ぜなくても判定できるという技術です。
ソイルセメントの配合試験は固まるはずだったのに固まらない、反対に固まらないはずだったのに固まったという結果が出ることがあります。そのトラブルを未然に防がなければなりません。
土の中の有害物質には様々ありますが、一般的に言われているのが腐植酸と言われる物質です。一般的には、腐植酸の1種であるフミン酸という物質が悪影響を与えていると言われていたので、はじめはフミン酸に注目していました。しかし研究を進める中でフミン酸があっても固まる土が出てきたので、不良要因はフミン酸ではないと考えました。
そこで何が原因かと考えた時に出てきたのが微生物です。土の中に緑色の葉が入っていても固まるのですが、腐っている途中の葉が入っていると固まらないのです。そこで土や水が腐る過程に何があるか考えた時に微生物が分解しているのでそれが影響しているのではないかと思ったということです。
微生物に注目して研究を進めたところ、微生物量が多いほど土が固まりにくいということがわかりました。
従来方法の判定は、工事をしている方々にとっては時間も費用もかかります。
実際に混ぜるとなると結果が出るまで大体1か月半ぐらいかかります。さらに費用も1度評価するだけで100万円以上かかります。今回特許化した微生物量を指標とする方法が実用化されれば、時間もコストも半分以下になると想定しております。
ソイルセメントという分野はこれからも伸びる工法だと思っています。現場でできる限り早く適性を判定できる方法が世の中には必要だと思います。当社もそこに先駆けてソイルセメントを発展させていきたいです。
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