2022年7月より連載開始!株式会社土木管理総合試験所が運営されている「DK note」の記事をご紹介します。
クラックスケールもって何度も現場に行くのは大変!
コンクリートのひび割れを経過観察するとき、皆様はどんな方法でされていますか? IoTの技術が進み、ひび割れに変位計を設置して遠隔からモニタリングすることが比較的安価にできるようになりました。
コンクリートのひび割れ遠隔モニタリングの技術者に話をきいてみました。
Q 橋梁のひび割れをモニタリングすることになった経緯を教えてください。
松山さん:橋梁は5年に1度の点検が法律で定められており、その中で構造的なひび割れが確認されたようです。補修工事を実施することになったようですが、施工までの間に何かあっては危険なので、ひび割れの進行状況を遠隔監視したいとご相談がありました。
Q 構造的なひび割れとはどのようなひび割れでしょうか?
松山さん:乾燥や温度変化によってできた軽微なひび割れではなく、地震など構造物としての強度よりも大きな荷重がかかったときに発生するひび割れです。「構造物として形状が保てないような危険なひび割れ」と考えていただくと良いかと思います。
Q 実際のひび割れモニタリングを行ってみて得られた効果はございましたか?
松山さん:測定結果から、ひび割れは変動しているけれど気温によって縮んでいる傾向であることがわかりました。今すぐに橋が落ちてしまうような予兆は確認されませんでした。10分間隔でデータを取っていますが、測定間隔は設定で変更することができます。
やっぱり難しい
Q モニタリングを行ってみて見つかった課題点はございましたか?
松山さん:機器の構成は、現在温度センサはBluetoothで、ひび割れの幅を測定する変位計は有線でIoTゲートウェイと接続しています。ケーブルがない温度センサは、設置や準備の面でメリットが多いのですが、時々通信が途切れてしまうことがありました。データの欠測をいかになくすかが今の課題です。
採用の決め手は「グラフの見やすさ」
Q モニタリング結果の画面というのはお客様も確認できるのでしょうか?
松山さん:お客様用のユーザーIDとパスワードがあるので、それを使ってクラウドにアクセスしていただければ、リアルタイムで確認可能です。
Q お客様が当社に依頼してくださった決め手は伺われていますか?
松山さん:オンラインでシステムのご説明をした際、お客様にデータの画面を見ていただいたのですが、見やすいねとおっしゃっていただいて、それが決め手になったのではないかと思います。
Q 現場で苦労されたことがあれば教えてください。
松山さん:初めに予定していたのはパイ型変位計でひび割れ幅を計測する方法でしたが、防水性ではないことや耐久性も考えて、橋梁の現場では亀裂変位計というものを取り付けました。亀裂変位計は平らな面に取り付けるものなのですが、ひび割れに大きな段差がある場合は取り付けが難しく、取り付け用の金具を製作して設置しました。
レンタルできるそうです
Q 最後に、今後の展望を教えてください。
松山さん:お問い合わせを頂いておりますひび割れモニタリングの用途としては、補修工事に入るまでのひび割れ幅の変動をモニタリングしたいという要望が多いです。そのような現場に向けて、比較的安く簡単に、設置・モニタリング・データ確認ができるということをアピールしていきたいです。
技術者へのご相談・お問合せはこちらまで
業務案内ページ「DKnote」まで▶ https://service.dksiken.co.jp/