建設コンサルタントは、担当業務を通してどのような力が身に付き、仕事のどのような箇所にやりがいを感じるのでしょうか。建設業界の中で建設コンサルタントの仕事は、一般の人が想像しやすい工事現場で働く現場作業員と異なり、調査・検討・設計・施工管理・維持管理とさまざまな作業を担当します。本記事は、これから建設コンサルタントを目指す人にとって将来像をイメージしやすい有益な内容になっています。
はじめに、建設コンサルタントの仕事内容を解説します。
建設コンサルタントの業務は、一般の人がイメージする建設現場で重機などを使って建設工事をすることではありません。国・地域・都市などの整備事業の企画・立案、構想・設計段階からの実現可能性調査や検討業務をはじめ、専門業者の中には、地盤・地質・環境調査などの特定分野を専門としている企業もあります。一般的にイメージしやすい仕事内容としては、設計業務・施工管理業務・維持管理業務などがあげられるでしょう。これらの仕事を通して、建設コンサルタントは、社会資本整備の全段階に関わっているのです。
ある地域で慢性的な交通渋滞が発生しているケースを例に建設コンサルタントの業務を解説します。まずは、その課題の問題点を様々な角度から検討します。そして、その問題点の解決策を複数提案し、実現の可能性が最も高い解決策を実行できるように関係各所に働きかけます。例えば、道路を拡幅・増設するのか、鉄道やバスなどの別の交通手段の充実を図るか、新しい交通手段の場合、経済合理性を評価して、その地域の持続的発展に寄与できる方法などを導き出します。
このような検討の結果、地域住民や周辺環境への影響評価、工法・コスト・工事期間など、様々な側面から調査を行い、実現性の高い具体案を提案できるようになります。これらの業務を通して、深い専門知識が得られます。加えて、広い視野で課題・問題点を考える必要があるため多角的視野で考える習慣が身に付きます。更に、最終的に解決策を提案するため、論理的に話す力・交渉力も鍛えられます。
建設コンサルタントとして活躍する人は、どのような“やりがい”を仕事に感じているのでしょうか。下記の3点に分けて解説します。
建設コンサルタントは、顧客となる国や地方自治体(官公庁)から要請を受け、社会資本整備を通して第三者の生活を良くします。つまり、当該地域の発展に直接的に貢献できるため大きな達成感や生活を通して仕事の成果を感じることができます。
建設現場で働く施工管理業務と比較して、我々の仕事は構造物の設計業務です。そのため、現場作業員が施工管理を通して印象に残る仕事と建設コンサルタントが設計業務を通して印象に残る仕事には違いがあります。しかし、いずれにしても自分が設計業務を通して計画・設計した構造物が現場に残るという達成感は非常に大きく、やりがいにつながります。建設コンサルタントには、現場に作られた構造物がどの程度、安全性・復旧性・使用性を有しているか理解しているため現場作業員とは違った視点で造られた構造物を見る楽しみがあります。
建設コンサルタントの仕事は、現場条件に大きく左右されるため、全く同じ仕事(調査・設計)はありません。そのため、経験や培った技術で対応することはできても、常に同じ作業をするということは無いのが特徴です。このことから、同じ作業の繰り返し(ルーティーンワーク)で仕事に飽きるといった感覚に陥ることは無いでしょう。仕事に飽きにくいことは、この業界で長く続ける人にとって大きなやりがいに繋がります。
建設コンサルタントの仕事内容、業務通して身に付く力、やりがいを感じるポイントを理解できたでしょうか。建設コンサルタントと総称しても上述の通り、企画・計画・調査・検討・設計・施工管理・維持管理と様々な作業があります。本記事を通して、建設コンサルタントに魅力を感じる人が一人でも増えることを願っています。