建設コンサルタント業界の現状

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建設コンサルタント業界の現状は、どうなっているのでしょうか?本業界の現状と課題を正しく理解して、これから挑戦したい人や既に従事している人の課題を明確にする内容となっています。ここでは、本業界の現状と課題に加え、新しい取り組みに関して、DX等のIT技術を活用した新技術等も紹介しています。


建設コンサルタント業界の現状



建設コンサルタントは、基本的に公共事業に従事します。そのため官公庁や地方自治体の動向に大きく業績が左右されます。1990年代後半の景気拡張期に公共事業投資がピークに達し、年々減少傾向にあるため、建設コンサルタント業界も縮小傾向にあることが現状です。

 ▼市場規模

本業界の市場規模は約0.5兆円(※1)ほどで他産業と比較するとあまり大きくありません。

昨今の公共事業は、震災復興関連以降、オリンピックや大阪・関西万博で一時的に需要が見込めていたため、現在まで堅調に推移しておりますが今後増加の見込みが少ないことを考えると減少していくことが予想されています。しかし、日本の地理的特徴から、河川氾濫や地震などの天災が起こることで一気に需要が増すと考えられます。

(※1)参考:国土交通省 建設関連業等の動態統計調査

 ▼労働者年齢の高齢化

本業界関係者は、40~50代が多く若者が少ない逆ピラミッド型を形成しています。従事者の平均年齢は44.2歳(※2)と他産業と比較すると高齢です。

そこで、業界をあげて若手技術者の定着を目的とした様々な取り組みを行っています。

(※2)参考:建設コンサルタンツ企業年金サイト


今後の課題


 

そもそも建設コンサルタントは中小企業が多く、経営環境面では、公共事業に関する業務が多いことから近年の公共投資額の減少に伴い受注金額が減少しています。価格競争面では、市場規模縮小に伴い低価格入札が増加しており、低価格競争が激化しているのが現状です。その他にも下記3点が大きな課題です。

 ▼若手技術者の育成

本業界は、経験工学的な分野であるため、若手技術者の育成が大きな課題です。

熟練技術者は高齢の傾向にあり若手技術者の技術力育成が求められます。そのため、企業には社内外の勉強会・ワークショップ・オンライン講座等を通して座学・実践を並行して技術力を向上できる環境づくりが求められています。

 ▼労働環境の改善

建設業は、どの業種でも就労者の年間労働時間及び残業時間が他産業と比較すると長時間であるのが現状です。建設コンサルタント業界も例外ではありません。

昨今の業界全体の労働環境改善の取り組みを経て、減少傾向にありつつもまだまだ改善の余地が大きい業界です。受注案件が公共事業であることが多いため、年度末の繁忙期と4~6月の閑散期の業務量に差が激しいことによる労働環境の悪化が問題の一つにもなっています。

 ▼新技術への投資

本業界では、新技術や研究開発に積極的に取り組んでいます。昨今は特に公共事業に求められるニーズが多様化しておりDX等のIT技術を活用した新しいサービスの提案が求められています。

具体例を挙げると、ドローンを活用した点群測量、GISを活用した現地調査、BIM/CIM等の3Dモデルを活用した設計を維持管理にも生かす等様々な取り組みがあります。


建設コンサルタント業界の海外事業


 

発展途上国の経済発展のためにインフラ整備に着手する案件受注額が増加しています。

海外事業では、主に政府開発援助(ODA)案件が多く、現地の民間企業の発注案件を国際競争で勝ち取ることは非常に少ない現状です。従って、いずれにしても国家予算の変動に伴い市場規模が大きく左右するため中長期的な急拡大は見込めません。

今後は、中国等をはじめとする価格競争の激化が想定される中で価格競争力の強化や民間企業の資金を用いた官民連携事業(PPP)の展開を拡大していくことが求められています。


まとめ


 

建設コンサルタント業界の現状及び課題を認識できたでしょうか?

本業界は、公共事業に依存していた現状から、DX等のIT技術を活用して民間案件や海外案件の受注へと挑戦している転換期にあると言えるでしょう。システム化が進むことで人の手に依存していた作業が機械化し、労働環境の改善や若手技術者の活躍の場が増えることが期待できます。

本記事を通して、業界の課題を正しく認識し、発展の一助に挑戦する人が一人でも増えることを願っています。


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この記事のライター
建設業界の土木職において、ゼネコンでの施工管理業務実績、建設コンサルタントとしての設計・コンサル実績、発注者や資金元としての発注業務実績があります。国内・海外のインフラ案件に従事した経験を生かして建設業界全体の魅力発信をしていけたらと考えています。
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