以前に、「建設コンサルタントが施工監理経験で得るもの」として投稿させていただきましたが、その内容は工事に直接関わる経験を経ることで、その後の設計業務にどう活きてくるのかという技術的側面にフォーカスした内容でした。
今回は「その2」として、クライアント支援の立場から、どういったことが役に立つのかを記述していきたいと思います。
施工監理業務は、設計業務時のクライアントの立場に立って業務を行います。実際の実務は、クライアント職員と施工監理職員でラップする部分と分かれる部分がありますが、クライント実務に直結するのが目に見えるため、その経験自体がクライアントの理解につながります。そしてこの経験を経ると、設計業務時にクライアントと意思疎通を図ることが非常にスムーズになります。特に、設計業務に関わる点として、設計業務時にあまり意識しなかった部分かつ、クライアント側にすれば日常的である事項は、以下の3つであると気づきました。
コンサルタントは設計成果の一つとして数量計算書を提出します。クライアント側の積算システムで定義する数量の区切り方や使用する単位と合っていないケースが諸所あり、工区割りの事情もあってクライアント側が積算時に修正・調整を行う場合が少なくありません。
コンサルタント社内で使用される「決済」という言葉は、各業務の実行予算や少し高額な経費の使用といった経理的意味合いが強いです。クライアント側の場合、工事発注、支払い、工法変更、施工計画など、かなり多くの業務が「決済」業務に直結していて、「決済」の言葉の持つ重みがコンサルンタントとは桁違いです。また、設計業務の詳細スケジュールが、クライアント側の関連する決済予定で決定する場合もあります。
クライアントからすると地元の協力あっての事業であるため、地元からの要望には多少応えなければならないケースがあり、設計の王道から外れた部分で、軽微な修正、追加設計が必要になることもあります。
他にも警察協議、近隣プロジェクト関係者との協議、会計検査、マスメディア対応など多々ありますが、主に上記の3つが、コンサルタント事務所で設計をしているだけではなかなか見えにくいことだと思います。
コンサルタントの勤務形態は、クライアントとの打合せや現地踏査のための出張時を除けば、だいたい平日9時~17時、進捗状況によっては残業となります。クライアントの場合は、9時~17時という勤務時間であっても、以下の場合は変則的になります。
業務の状況によって、コンサルタント側がクライアント側の勤務時間に合わせた動きができると、物事がスムーズに進みやすいことが多いです。
施工監理業務は、数年その地に住むことになります。仕事だけでなく、地元のイベントへの参加や地元のいいスポットを紹介してもらい一緒に遊びに行くなど、季節を感じながら充実した日々を送れれば、自然とその町が好きになり、人によってはその地が第二、第三の故郷に、なんてこともあると思います。
そういった経験をすると、設計業務で対象の土地に行く場合「ここも住んでみればいい所かも」と見てしまうこともあり、そういう気持ちが結果的にクライアント理解につながり、業務にいい影響を与えることになっていきます。
施工監理業務を経験すると、クライアントの事情を理解しながら設計業務を進めていきやすくなるため、クライアント側からすると、話が早く頼もしい印象を持ってもらえることが多いと感じます(無論、成果品がだらしないと元も子もないですが)。
設計業務中は、地元やクライアント内部の事情で、設計条件が多少変わることもあり、これに振り回されてコンサルタントが四苦八苦することは宿命であるとも言えます。このような事態に直面した場合、正論を言ってクライアントと衝突するか、泣き寝入りするか、ではなく、双方の事情を理解し落としどころを見つけ、クライアントと良好な関係を構築・維持することができれば、仕事が楽しくなっていくのではないかと思います。
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