RCFによる労働者の健康被害

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連載第9回目は、株式会社土木管理総合試験所の「DK note」記事より「経済的で効率的な水源探査方法とは?」を掲載いたしました。

■前回の記事はこちら


労働安全衛生法では、有害な化学物質を取り扱う屋内作業場について作業環境測定の実施とその評価を義務づけています。

リフラクトリーセラミックファイバー(以下RCF)について、国が行う「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価」を行ったところ、リスクが高く規制が必要であるとなったことから、厚生労働省は平成27年9月30日付で、労働安全衛生法に基づく作業環境測定基準、作業環境評価基準および関連告示を改正、平成27年11月1日に施行しました。

詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。


リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)とは


RCFとは、非晶質のセラミックでできた人工的な繊維で主成分はアルミナ(Al2O3)とケイ酸(SiO2)でできており、耐熱温度は1000~1500℃と高いため、特に高温となる部位の断熱材として利用されています。

日本での生産量は年間約1.2~1.8万トンとなります。


RCF用途とは?


耐熱温度は1000~1500℃と高いため、特に高温となる部位の断熱材として利用されています。

用途の一例

  1. 炉のライニング材
  2. 防火壁保護材・熱遮蔽板
  3. 高温用ガスケット・シール材
  4. タービン
  5. 絶縁保護材
  6. 伸縮継手への耐熱性充填材
  7. 炉の絶縁材


有害性について


セラミックファイバーは発がん性のある天然鉱物繊維である石綿の代替材料として使用されていますが、その中でRCFは繊維径が比較的細いことから発がん性が疑われています。

吸入による発がん性の可能性があるとしてIARC(国際がん研究機関)グループ2B(人に対する発がんの可能性がある)に位置付けられています。


RCF実体顕微鏡写真(50倍)


作業環境測定について


RCFは表示対象物・特定化学物質の管理第2類物質に追加されました。

このためRCF等を製造・取り扱う屋内作業場では、作業環境測定とその評価、結果に応じた適切な改善を行うことが必要です。

6か月以内ごとに1回、作業環境測定士(1号粉じんの資格を持つ第一種作業環境測定士が実施)による作業環境測定を実施

○結果について作業環境評価基準に基づいた方法で評価を行い、評価結果に応じて適切な改善が必要

○測定の記録及び評価の記録は30年間保存

詳しくは厚生労働省の資料をご覧ください。

ナフタレンとリフラトリーセラミックファイバーについて健康障害防止措置が義務づけられます


※5μm以上の繊維

測定方法はアスベストと同様の「ろ過捕集」であり、分析は「位相差顕微鏡を用いた計数方法」になります。長さ5μm以上、幅3μm未満、アスペクト比3以上の繊維を計数します。

なお、通常の計数法ではRCFだけではなく、その他の繊維も計数されるため、計数値が0.3本/cm3を超過した場合は、分散染色法を用いてRCFを特定して計数することが必要になります。


左から、RCF分散染色写真(浸液1.550)(100倍)、RCF分散染色写真(浸液1.700)(100倍)、ロックウール分散染色写真(浸液1.550)(100倍)


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