担当業務で得たノウハウ、苦労した点、仕事のやりがい

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はじめに


こんにちは。私は上下水道コンサルタント会社に勤めて今年で9年目になります。

今回は、当時入社3年目の私が、コンサルタントとして自分を見つめなおす転機になった再構築設計という業務に土木の主担当として抜擢された経験談をお話しします。

私の経験談を書いただけですが、現在コンサルタントに務めている若手社員の方などに少しでも参考になれば幸いです。


下水処理場について



 下水処理場の施設構成

下水処理場では一連の処理を行うために、下水を貯め、流すための器がまず必要です。このために管路や水槽といった土木構造物を地下に築造します。

水槽に入った下水は、微生物の働きを利用した生物処理を行うことで浄化します。水槽内で活性汚泥と呼ばれる微生物のフロックを形成させ、活発化させるために空気を送り込み浄化して、塩素で消毒して川や海へと放流します。

余分な活性汚泥は沈殿除去し、水とは別の汚泥として汚泥処理施設に送り、また濃縮・脱水といった汚泥処理を行い、最終的には処分や搬出、再利用を行います。汚泥処理用の貯留槽や、用途に応じた処理施設も下水処理場には必要になります。

 下水処理に必要な設備

施設以外にも、ブロワー(送風)設備、汚泥掻き寄せ機、脱水機といった機械設備があり、処理のメインとして活躍します。

また、機械設備を動かし制御する、維持管理するために電気設備も必要になります。機械や電気設備を設置するのは地下構造物だけでなく、地上に建物(建築施設)を建設する必要があります。建物は人が使うので空調照明といった建築設備も必要です。処理場には多くの設備配管・配線が飛び交います。

このように土木単独ではなく、建築、機械、電気といった複数の工種が一つの設計に携わるのは、上下水道施設設計の特徴と言えます。

 下水処理場の再構築設計

再構築設計とは年数が経って老朽化などが進行した下水処理場を廃止し、別の場所に新しく一から作りなおす設計です。

全ての施設、設備を一から作っていきますが、単に既設と全く同じものを作るわけではなく、そのときの下水の量や水質、建設地の大きさや環境条件などに応じて施設や設備の規模、機能、仕様などを検討して設計していきます。


苦労したこと



それまで私は、業務全体のうち土木設計の作業員のような形で業務に携わることがほとんどでしたが、土木設計に関していえば、3年目にしてそれなりにはできるという自負もあり、何の不安も持たずにこの業務に望みました。

 仕事の大変さを痛感

土木担当としては、地下構造物の機能設計・構造設計などがメインです。

本来はそれだけやればいいという業務も多いですが、この業務は設備の機能が最大限発揮できるような水槽の大きさを決めることや、配管や配線を通すルートを密集する敷地内や施設の中に確保しなければならないことなど、設計の難易度がものすごく高く、社内の他工種メンバーと細かく設計内容を調整しなければなりませんでした。

当然初めのうちは間違いやミスを連発したり、無駄なことをしたりで進捗が計画より大幅に遅れて周りに迷惑をかけてしまいました。また、規模の大きな仕事であったため発注者の期待も高く、設計の質が期待より低かったことで、「こんなレベルなんですか?」と発注者に怒られもしました。

修正のために残業する日々が続き、ひどい時は2週間会社に連泊もしていました。再構築設計は本当に大変な仕事で、自分でできると思っていましたが、少し仕事を舐めていた面もあったと思います。

 根本的な原因は自分にあり

下水コンサルタントの仕事は、協力会社さんに専門の計算や図面作成などを外部委託し、自分は作業をせずに指示をして仕事を進めていくやり方が結構慣例化しています。しかし当時の私は、「協力会社さんをこき使って自分が楽をしてはいけない」、「経験の浅い間は自分で全部手を動かして仕事を覚えてナンボ」など、変にプライドを持っており、年上の方には気を遣い、何で皆そんなやり方をしているのか理解できず、自分の間違ったポリシーに従って図面作成などの作業を対応していました。今振り返るとこの勘違いが一番よくなかったのだと思います。


苦労した経験から学んだ仕事のノウハウ



 必然的に仕事のやり方を転換

この仕事はやることが多すぎて自分だけでは確実に設計工期に間に合わないと悟った私は、結局それまで敬遠していた社内の先輩や協力会社さんを頼らざるを得なくなりました。

 仕事をのコツを学んだ

下水道に携わる方々は経験豊富でいわばその道のプロと言えるような方が多く、私が一緒にやっていたメンバーや協力会社さんもそうでした。自分でやるよりも知識や経験が圧倒的にあり、設計のポイントを熟知しているため、仕事の質・スピードが格段に向上し、ミスや客先の指摘も減って修正作業もほとんどなくなりました。私自身も残業する日々から解放され、客先の評価も向上しました。

また、作業を任せることで自分の時間が確保でき、心に余裕が生まれました。それまで作業にあてていた時間を他工種の分からない内容の調査や、業務に必要な情報収集など、勉強に注力するようになりました。

今までより仕事の全体像が把握できるようになり、仕事はよりスムーズに進み、進捗を巻き返して、無事工期内に業務を完了することができました。


おわりに



 勘違いしていたこと

先輩や協力会社の方に聞くと、「気を遣って作業を振られないよりも、任せてもらった方が信頼されていると感じるし、自分の仕事はなるべく自分でやりたい」と口をそろえて言っていました。この時初めて「仕事は人に任せてもいいんだ」と思えることができました。

振り返ると、当時自分の面倒もまともに見られないようなレベルであったのにも関わらず、自分をよく見せようと間違ったやり方をしていたことに気づいたと同時に、先輩や協力会社さんのことを信頼せず、プライドを傷つけてしまっていたんだなと反省しました。

 参考程度に

仕事を覚えるには自分で作業をやることも大事なことだと思います。ただ無理なときは人を頼り、その分正しい方向に導けるような努力をすることが、結果として質の高い仕事につながり、皆が幸せになるということをこの業務で体感しました。

また、コンサルタントの場合、どちらかというと単純作業よりも勉強することが本当に必要なことだと感じました。迷惑をかけたので、正しいかはわかりませんが、私にとってはコンサルタントとして仕事の本質を学べた貴重な経験でした。


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この記事のライター
上下水道コンサルタント会社で入社9年になる33歳です。現在は主に下水道施設(処理場やポンプ場など)の土木設計を担当しています。
趣味はサッカーで、見ることも自分でやることも大好きで、Jリーグや海外サッカーなどをよく見ます。最近はコロナの影響もありご無沙汰していますが、会社メンバーでフットサルをして楽しんでいます。プライベートでは3人の子供がおりワイワイにぎやかに毎日楽しく過ごしています。よろしくお願いいたします。
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