アスベスト含有建材とは、繊維状の天然鉱物であるアスベストの含有量が0.1%(重量比)を超える建材のことであり、建物解体時等に取り扱いが規制の対象となります。
今回は、解体工事において直面するアスベスト含有建材の取り扱いの留意点のお話です。
アスベストは、耐火・断熱・防音等の機能に優れ、安価だったことから建材として様々な部位に用いられてきました。しかし、肺がんや中皮腫の原因となることから製造が中止されています。また、労働安全衛生法では、1996年に石綿障害予防規則が追加され、建物解体時には適切な調査、対策を行うよう規制されています。
アスベストの取扱方法は、飛散性の程度に応じてレベル1から3の作業レベルが定められています。レベル1は飛散性が著しく高いと判定される吹付け材、レベル2は飛散性が比較的高いと判定される保温材や断熱材等が該当します。また、レベル3は飛散性が比較的低いと判定されるPタイルなどの成形板等が該当します。
ここでレベル1と2の建材が確認された場合、工事区域をビニールシート等で囲い、外部に飛散しない大掛かりな負圧隔離養生を施し、作業員もタイベックと電動ファン付全面防塵マスクを着用するという重装備の保護具の装着が必要になります。工事区域への出入り口にはエアシャワー等を備えたセキュリティゾーンを設け、換気は除塵装置とダクトホース等で行うことになります。したがって、対策費は高額になり、工期も長くなります。
特に、外壁でレベル1の吹付け材が確認された場合、より大掛かりな隔離養生が必要になり、工費・工期を圧迫することになります。個人住宅の解体工事に際し、解体費用が当初の150万円から650万円に跳ね上がり、建替え事業が中止になった事例もあります。個人にとっては、500万円のコスト増は大問題ですからね…
アスベスト含有建材ですが、レベル1とレベル2の建材は概ね1989年には製造が終了しています。しかし、煙突用の断熱材(レベル2)だけは2004年まで製造され、レベル3の成形板も2004年まで製造されていたようです。したがって、基本的には、2005年以前の建材は調査の対象になります。思ったよりも近年の建材も使われていた可能性があることを理解してください。
アスベスト含有建材の基準ですが、以下に示すようにどんどん厳しくなっています。
したがって、2008年6月20日以前に調査・分析を行い、「含有なし」と判定されていても基本的には再分析が必要になります!建物の持ち主の方には、「アスベストは、昔、調査してあるから大丈夫!」と考えて建て替え時の事業予算に見込んでおらず、高額な対策費用の発生で途方に暮れる方もいらっしゃいますので注意してください。
アスベスト含有建材について留意点を簡単に解説してきましたが、2004年以前に製造された建材は含有している可能性があること、基準が厳しくなってきており、2008年以前の調査結果は使えない可能性があること、建物の外壁に吹付け材が使われている場合には対策費用が高額になる可能性があること(特に、個人住宅で影響大)に注意してください。
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