土壌調査済みの敷地なのに、「汚染土壌あり」ってどういうこと?

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土壌汚染調査は、土壌汚染対策法の施行を契機に開発事業を行う際には避けては通れない問題になりました。土壌汚染が確認された場合、対策工事に伴う事業費の増大や工期の延伸を伴うため、発注者である行政機関、デベロッパーの関心も高くなってきました。

しかし、土壌汚染調査を実施済みの敷地において、建設発生土を搬出する際に行う土砂検定で基準超過が確認され、発注者から「何で土壌汚染がでるのか?そんな予算は計上していない。」というお叱りに近い指摘を受け、十分な設計変更を獲得できなかったという話をよく聞きます。

これは、土壌汚染調査に基づく基準超過と建設発生土調査に基づく基準超過の違いが理解されていないことが主たる原因です。
建設発生土調査は、建設発生土の受入先により規定されているものであり、関東では千葉県や茨木県、栃木県等では条例により調査方法や基準値が設けられています。


土壌汚染調査と建設発生土調査



土壌汚染調査と建設発生土調査は、土壌分析する物質も基準値もほぼ同じであり、何が違うのか分かりにくいという問題があります。調査の目的や方法が違うこと、土壌汚染調査では自然由来の基準超過まで把握することが難しいことなどを論理的に説明できれば良いのですが、うまく説明できないと言い訳に聞こえてしまうことがあります。


発注者への説明時の注意点



経験上のお話しですが、できれば事前に「土壌汚染調査と建設発生土調査は別物です。土壌汚染調査は、表層で汚染が無ければその下はやりませんから、土壌汚染調査で“土壌汚染なし”という判定でも、その下に自然由来の汚染土壌がないとは限りません。」という具合に、まず、調査方法が違うということを伝えたうえで、自然由来のリスクを前面に出した方が受け入れられやすいと思います。自然由来の汚染というものは、比較的認知されているようです。

また、昔海だった土地では自然由来の汚染土壌のリスクがあること、海水はふっ素が基準超過していること、東京近郊の低地であれば、10m程度掘ればどこでも自然由来のリスクがある地層に達すること等、具体例に根拠を示していくと更に有効です。

ただし、相手はお金をかけて土壌汚染調査や対策工事を行っているのに、「何故まだ土壌汚染があるのか?」という感情的な意識になっていることがあります。中途半端な知識で非論理的な説明をすると墓穴を掘りますので注意してください。

なお、土壌汚染調査を行い、“土壌汚染なし”ということであれば、建設発生土調査において基準超過が見つかっても土壌汚染調査をやり直す必要はありません。あくまでも別物の調査であり、調査方法が異なるので結果も流用できません


自然由来の汚染土壌がでやすい地層



一般的に、海生堆積細粒土はリスクが大きいといわれています。

東京近郊の臨海部であれば、埋土層下部のシルト層、特に、貝殻混じりは要注意であり、砒素やふっ素が基準超過します。経験上、5割程度の確率で基準超過します。

また、凝灰質粘土層は、鉛が基準超過することがありますので注意してください。なお、砒素やふっ素、鉛の基準値は、土壌汚染調査も建設発生土調査も同じなので、どちらの調査でも基準超過する可能性があります。

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この記事のライター
静岡県生まれ。大学の土木系学科を卒業後、建設会社に入社し、施工管理、計画・設計、技術開発等の業務に25年間従事した。10年ほど前に横浜に本社がある調査会社((株)オオスミ https://www.o-smi.co.jp/)に転職し、現在は土壌汚染やアスベスト等の開発事業に関わる環境系の調査、コンサルタント業務に従事している。
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