皆さんは「防災施設」と言われて、何を思い浮かべますか?私は「かまどベンチ」が一番に出てきました。
かまどベンチとは、ベンチをかまどとして利用できるもので災害時の炊き出しに一役買っているものです。本日は“身近な防災施設とは”というテーマで、かまどベンチを例にお話したいと思います。
かまどベンチは、主に災害時に一時避難場所として指定されている公園に設置されています。この公園に避難地としての機能を持たせた公園を「防災公園」と呼んでいます。
防災公園が災害時発生時に果たす役割としては、次のものが挙げられます。
防災公園は、災害時は避難地として機能し、救援機能および輸送等の中継拠点機能を担い、市街地部分と併せて災害に強いまちづくりに貢献しています。
東京都や各市の総合的な防災計画である「地域防災計画」では、都立公園58ヶ所が「避難場所」に指定されているほか、35ヶ所が「大規模救出・救助活動拠点」や「ヘリコプター活動拠点」などに指定されています(※1)。
(※1)引用元:公益財団法人 東京都公園協会 「公園へ行こう!」緑と水の総合サイト
防災公園といっても、平常時は住民に親しまれる花と緑の憩いの場、多目的なレクリエーションの場として一般的な公園と同じように利用されています。防災公園には、かまどベンチ以外に下記の防災施設があります。
かまどベンチも平常時は至って普通のベンチですが、災害が発生するとトランスフォームし、かまどになります。このように防災施設といっても、平常時は一般的な公園として利用できる製品もあるので、「これが?」となかなか気が付かない人も多いと思います。
防災施設は、災害時に避難地としての機能を発揮することが求められます。しかし機能があったとしても、「使い方」が分からないとその機能はないに等しいです。実際かまどベンチとして認識していたとしても使い方が分からないのであれば、それは一般的なベンチと変わりません。利用方法を記した看板を設置している場合もありますが、実際使ってみないと分かりませんし、災害時に看板を見て冷静に使えるとは思えません。
防災施設は、平常時からどれだけ「使い方」を浸透させられるかが重要ではないかと思います。自治体によっては、防災訓練として地域住民と一緒に防災施設を使う取り組みを行っているところもあります。ただ、それだけではまだ弱いと思います。例えば、食のイベントを防災公園で開催し、その際にかまどベンチを利用して食べ物を提供するなど、自治体と民間が協力して防災機能の利用促進を行う必要があると思います。
皆さんの身近な場所に防災施設がありますが、皆さんにとっては身近なものではないかもしれません。私にとっても同じです。阪神淡路大震災や東日本大震災を経て公共の場において防災製品の広がりは進んでいますが、それを利用する私たちの認識は進んでいないように感じます。今後求められることとしては、施設の整備に加えて、より防災施設を利用できる環境づくりと私たち自身の防災意識を高めることではないかと思います。
外に出る機会も徐々に増えて来ていると思いますので、息抜きや体力保持のため近所の公園へ行かれる際は是非、「これは防災施設なのかな?」という視点で公園にある施設を見ていただくと、少しは防災製品を身近に感じていただけるのではないかなと思います。
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