土留部材引抜同時充填工法

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1. 技術開発の背景及び契機
 仮設材にて土留めを行う場合、近接した民家や埋設物などに対する土留め杭(鋼矢板やH工杭など)引抜時の影響低減の決め手になる方法は無く、多くの現場で鋼矢板の残置がやむなく行われてきた。
残置自体に問題がある堤防工事においては特に有効な解決策が望まれていた。

2. 技術の内容
 土留部材引抜同時充填注入工法では、土留部材の引抜きによって発生する空隙に対して、予め設置しておいた充填管より専用充填材を同時充填することによって、引抜き後の地盤変位を抑制し、周辺構造物や埋設物への影響を極小に抑え、土留材の回収を可能にした。水中での施工も可能である。
残置の必要がなくなりコスト縮減となり、環境性、地中障害物の将来計画の阻害要因の払拭が図れる工法である。

3. 技術の適用範囲
 住宅密集地での鋼矢板土留めが必要な上下水道工事、河川堤防の堤体に仮設構台や土留めが必要な橋台などを構築する道路工事、河川やため池堤防の堤体に二重締切土留めが必要な樋門工事などでのニーズが特に多い。また、交通量が多い幹線道路供用線において橋脚工事や水路工事などで土留めが必要な場合も、供用道路の安全性の確保、供用道路下の重要な埋設物への影響防止が必要であり、本工法の適用が有効となる。このように近接施工や堤防工事全般においての土留め工事、仮設桟橋工事において、広く適用される。

4. 技術の効果
 宮崎大学による効果の検証おいては、鋼矢板を引抜いた跡に、充填材があたかも鋼矢板があるかの如く確実に充填されていた。鋼矢板を引抜くと同時に充填していくため、鋼矢板残置に近い形となるため、周辺地盤の変位抑制効果は確実であることが検証できた。実際の現場における計測結果からも、これを裏付ける結果が多数報告されている。

5. 技術の社会的意義及び発展性
 残置の必要がなくなりコスト縮減となり、鋼矢板を回収することが出来るため鋼矢板のリユースによる環境負荷の低減、残置していた場合に地中障害物による将来計画の阻害要因の払拭が図れる。発展性としては国際展開、既成杭引抜時の対策への技術移転、土壌汚染対策工事の土留め材引抜時の影響防止と汚染物質の遮断壁の分野が期待される。

6. 技術の適用実績―504件

製品・技術情報

製品名 土留部材引抜同時充填工法
価格 下限2,500円 ~上限5,000円 / mあたり
NETIS登録 SK-080012-VR
代替となる工種・単価 仮設工
掲載日 2019年04月09日( 情報更新日:2022年03月02日 )

採用実績

年度 地域 発注者 工種/工事 数量 単位
2018 新潟県上越市 新潟県上越市 重油管撤去工事 20
2018 兵庫県丹波市 国土交通省近畿地方整備局  福知山河川国道事務所 丹波綾部道路三ノ宮地区他整備工事 38
2018 香川県高松市 香川県高松市 たつみ橋新設工事 17
2018 福島県福島市 NEXCO東日本 東日本道路福島北JCT工事 355
2018 静岡県掛川市 静岡県掛川市 平成30年度市単河川整備事業(準) 神代地川河川改修工事土留・仮締切工 22
2018 愛知県豊川市 独立行政法人       水資源機構 豊川用水二期西部幹線併設水路相楽工区工事 33
2018 滋賀県米原市 国土交通省近畿地方整備局 滋賀国道事務所 米原バイパス矢倉川高架橋橋脚設置工事(P4) 75
2018 岩手県野田村 岩手県県北広域復興局    土木部 二級河川有内川筋野田地区河川改修(函渠・分水工)ほか工事 254
2019 高知県南国市香南市 国土交通省 四国地方整備局  土佐国道事務所 平成30-31年度物部川橋下部工事 262
2019 千葉県千葉市 民間(千葉県) 民間造成工事 120
2019 愛知県名古屋市 JR東海 名駅下水工事 27
2019 新潟県胎内市 新潟県 新発田地域振興局 胎内市柴橋地区護岸工事 57
2019 京都府京丹後市 京都府丹後土木事務所 竹野川(鳥取川)広域河川改修(重要インフラ・防安)工事 144

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企業情報

企業名 協同組合 Masters
対応地域

北海道・東北

関東

甲信越・北陸

東海

関西

中国

四国

九州・沖縄









紹介文  当協同組合は土木・建設業界に携わる中小企業を中心とした多種多様な異業種の集まりであり、異業種間の全国展開により、新たな事業展開を全国規模でダイナミックに展開できる体制を整えております。これら異業種間での交流を介して、土木・建設業界の既存の枠組みにとらわれない新たな工法・技術・製品の開発を行ってきており、組合内での共有を図ることで構成員の事業拡大に貢献しております。
 近年、建設投資需要全体は減少傾向にありますが、一方では震災の復興や2020年の東京オリンピック開催に向けた建設需要が大きく拡大していることから、このような環境にスムーズに対応するための新たな工具や工法の開発需要が増大しております。当協同組合においてもこのような情勢に対応するための技術開発や製品開発を積極的に行っており、当組合内における実際の現場での使用を通じて非常に高い有用性を確認できた品目が完成してきております。
 これら品目が当組合内だけでなく業界内に普及していくことで、業界全体の効率性向上と活性化を図ることができ、かつ組合内の企業の利益にもつながると考え、業界内への周知と普及を図っていくことを計画いたしました。
 また販路開拓に加えて、当組合が未来型企業形態として目指すべき方向と考えております。研究開発・生産・販売・管理のといった事業内容を当組合でハブとしてまとめていく組織構築にあたっての人財確保も目的であり、当組合の取り組みに賛同いただける事業者へのアピールを含んだ計画となっております。当組合は多種多様な異業種の中小企業、人財の集まりであり、異業種交流のレベルを脱して、異業種で新たなビジネスを展開します。メンバーが持つ独自の技術と豊富な経験から生まれる発想や閃きを共有し、融合し、新たなビジネスを創出していくことをありたい姿として考えております。
 また、「経験に裏打ちされた技術の継承」を人財として期待しており、将来的には研究開発・生産・販売・管理の各部門を当組合でハブとしてまとめていく姿を描いています。(掲載画像参照)建設業界内における当組合の認知と有用性をアピールし、まずは建設業界内での上記ハブの座組みを構築できる人財の確保を行ってきます。

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