近年、建設業は人手不足と言われています。総務省の労働力調査によると、2017年の建設業就業者数は498万人で、ピークである1997年の685万人から約27%も減少しました。人手不足の原因の1つとして、若手の入職率の低下、定着率の低下が挙げられます。
しかし、若手不足と言われている一方で、建設や土木に魅力を感じて業界に飛び込む若者もいます。私は、建設コンサルタント会社に設計職として入社し、約半年ほどの新入社員ですが、私もその一人です。
今回は、「建設・土木の魅力」を筆者の経験や他の新入社員から聞いた話を基に紹介していきたいと思います。就職説明会や会社の見学会、また社内での研修会など、若い人たちへ建設・土木の魅力を伝える際に参考にしていただければ幸いです。
「建設・土木の魅力」の1つ目は、仕事を通じて人の生活を根本から支えているというやりがいが感じられることです。
私は以前、4カ月ほど発展途上国に滞在したことがあります。その際、慢性的な交通渋滞や断水、停電などを経験し、インフラ整備の大切さを実感しました。私以外にも、新入社員の中には「東京で生まれ育ち、初めて地方に長期滞在したときに夜道の暗さに驚いた」という理由から土木・建設に興味を持った人もいました。
私はまだ入社して間もないため、できる仕事は限られています。しかし、それでも日々の業務を通して「この仕事が誰かの生活を支えるものになるんだ」と思えるので、建設業に飛び込んでみて良かったと思います。
「建設・土木の魅力」の2つ目は、人の命を守れる仕事であることです。これは特に災害関連の業務に言えることだと思います。
私の地元は台風や地震などによる自然災害が多い場所でした。私が子供のころ、大雨により堤防が決壊して友達の家が浸水したり、親戚の家の裏山が崩れたりという経験をしました。このような経験を通して、災害が起きてから被災者を支援するよりも、災害を予防する方が大切なのではないかと思うようになりました。
建設コンサルタント会社で働いている今、これからやる仕事を通じて、自然災害で被害を受ける人を少しでも減らすことができると思うと嬉しく思います。私以外の新入社員にも、「人の命を守れる仕事なら、自分は頑張れる」「水害対策に携わりたい」という気持ちから建設業界を選んだ人もいました。
「建設・土木の魅力」の3つ目は、専門性が身につき、キャリアの選択が多様であることです。最近、「人生100年時代」という言葉をよく耳にします。厚生労働省によると、2019年時点での日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が88.13歳だそうです。また、2025年4月から65歳定年制がすべての企業で義務になったり、厚生年金の支給開始年齢も65歳に引き上げられたりと、人生の中で「働く期間」がこれからもっと長くなると思います。
私は就職先を選ぶ際、「専門性が身につくこと」を重視しました。終身雇用が当たり前ではなくなったにも関わらず、働く期間が長くなることを考えると、長期的なキャリアを築くという理由から、専門性が身につく職業が良いと思いました。建設・土木業界はその点、専門知識や経験が身につくうえ、人の生活を支えられる仕事であることに魅力を感じました。
実際に働いてみて、「やっぱり建設・土木の業界を選んでよかった」と思います。仕事が大変なときもありますが、その度に「この仕事をやれば、誰かの生活を支えられる」と思うと頑張れます。私は社会人になってから、「勉強は一生続くんだ」と感じました。建設をする際の基準や物理現象、時代と共に変わる建設物への需要など、仕事をするうえで必要な情報が膨大にあるからです。もっと知識と経験を積んで、いつか防災や災害復旧に関わる仕事をしてみたいと思います。
この記事を読んでいるあなたへ ※本文内にある一部のキーワードをクリックすると、該当する製品・技術情報にアクセスできます。 |