設計者と施工者の両方を経験して感じた考え方の違い

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設計者は、現地付近の測量専門者が上げた現況に対して計画します。現場は、どうしても地図上・座標上でしか確認できないため、詳細な状況が把握できないまま設計しています。橋梁等の専門的な設計を含め、大抵の場合、行ったことがない場所や県外といった遠方が多いです。

基本的に設計段階で安定計算などの凡例を書き込むことは簡単です。しかし、施工する際の仮設や車両の搬入に関しては考慮されてない場合が多いと思います。


設計者が考える現場とは



土木の現場の場合、自分もそうでしたが「実際に現地をよく確認して設計する人はいるのだろうか」と疑問に思います。

公共工事では、工事の発注者も、ほとんどの事例で現地を確認することがなく、設計者の図面をそのまま積算し、施工図として発注することが多いです。

そのため施工者は、受注するとまず施工図・数量と現地を確認し、整合性を取る必要があります。一番大事なのは、構造物等を施工する際の仮設です。堰堤工事の例だと、施工者は「大型車で可能か」、「トラッククレーンで打設できるか」、「配置できる場所があるか」といった、コンクリートの打設に関する施工方法ができるか否かという点が大切です。

発注者はまれに、施工方法を確認せずに設計の段階で発注している場合があります。現地と図面が合わない場合は、施工者が設計まで行わなければいけない“設計施工”が発生します。よくある話です。施工側としては「ただ漫画を描いているだけじゃないのか」という気持ちで施工しなければなりません。最終的に、その図面を書き直さなければいけないのは施工者です。施工の途中で、設計変更に携わってくれるような設計者はなかなかいません。忙しいのですから。

その中に安定計算など責任問題が発生すれば、設計者も間に入って施工する場合もありますし、会計検査での説明は設計者にあるでしょう。


設計者が施工者に求めること



設計者側として現場に求めることは、特にないのではないかと考えます。これは自分だけなのかもしませんが、設計者は「図面を書いてしまえばおしまい」というのが主流の考え方で、現場側からクレームが来ない限り、自分の業務は終了していたような気がします。次の業務が待っていますので。強いて言うならば、「会計検査で問題にならないよう施工をしてもらう」ことではないでしょうか。


施工者が設計者に望むこと



逆に施工者から設計者に望むことは多いでしょう。「一度でも良いので現場に足を運んで、設計をして欲しい。」とはよく思うものですが、自分も設計を同じようにしていたので、仕方ないのだろうという想いで工事を進めています。実際には難しいものだと思います。施工者からすると「漫画を描いただけじゃないの?」という諦めだけが残ります。

自分が設計から施工者に変わったときは、現場内ではいろいろ責められました。「コンサル上りが!」と。「いい加減な図面を書いて給料をもらいやがって!」土木の場合、現場サイドはそんな感じの見方をしているのです。

現場を経験しないとさすがに完ぺきな設計はできないでしょう。

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この記事のライター
山口県出身。関東の某私立大学の農学部土木工学科出身。
卒業後、遠回りをしながら大阪の建設コンサルタントに入社。各地を転勤しながら設計及び役所の業務支援に4年従事。
家庭の事情により、故郷の山口県に帰り、地場の建設会社に入社、20年近く、施工管理・安全管理他を行ってきました。近年は、知り合いの言えなくらい小さい建設会社に移り、なんとか県や市の工事を行っています。
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