毎年、私は土木学会やAutodesk社が主催している建設業や各種設計ソフトに関するセミナーを受けていますが、2020年はコロナ禍により参加が難しくなりました。オンラインで学べる講座も多いですが、職場で受講すると集中できないことも少なくありません。
そんな中、今年1月に受講した「BIM/CIM講演会」は職場の数人で行けたこともあり、疑問点や感想について話し合えたのが良かったです。建設業に携わる人にとっても興味深いテーマがありましたので、今回は「BIM/CIM講演会」について紹介します。
開催日時 | 2020年1月15日(水) 13:00 ~ 18:00 |
会 場 | 文京シビックセンター 小ホール 〒112-0003 東京都文京区春日1-16-21 |
参加費 | 無料 |
主 催 | 一般社団法人buildingSMART Japan 土木委員会 技術普及小委員会 |
共 催 | 公益社団法人 土木学会 土木情報学委員会 施工情報自動処理研究小委員会 |
BIM/CIM講演会は、約5時間の間に9つのプログラムが発表されたため、密度の濃い内容でした。
プログラムの中から「国土地理院が整備する公共測量の基準類及び地理空間情報について」、「国土交通省におけるBIM/CIM の活用に向けた取組」、「オープンソース AR アプリの開発と CIM における活用」を抜粋してご紹介します。
公共測量についての基準、ドローンやレーザースキャナを使用した各手法の説明、地理院地図の使用についての講演でした。
地理院地図とは、地形図、写真、標高、地形分類、災害情報など、日本の国土の様子を発信するウェブ地図です。(地理院地図はこちら)パソコンやタブレットからのアクセスが可能で、最新の道路や鉄道が反映されているのがポイントです。
供用開始日に更新されるため、道路や地形などの新しい情報が確認できて大変便利です。その他、地理院地図には以下のような機能もあります。
以上を踏まえて、過去に水路だった場所や浸水リスクの高い地域など、地盤の安全性が問われる設計に活かすことができます。私も現況の道路の高さ、断面情報などをよく参考にします。また、地図を地形の3Dモデルに貼り付けて現地の再現ができるため、助かっています。
以下4つの発表がありました。
建設業の就業者の減少や、労働災害の現状、生産性向上に関する問題提起が最初に説明されました。
国土交通省では、BIM/CIMの基本的な知識や簡単に説明したパンフレット「初めてのBIM/CIM」の作成、BIM/CIMで困ったことがあった場合の相談場所としてポータルサイトの試行など色々な取り組みをしているとのことです。
私は土木の道路・橋梁などの3次元モデルを作成しているので、コンクリートや鉄筋の干渉チェックの重要性、施工ステップによる説明の大切さなどを実感しました。また、期待されている数量算出については、3Dモデルから正確な数量をどのように出すか、そうした属性情報の整理やソフトの使い方なども考えさせられました。
CIM で活用できるAR アプリの開発について説明がありました。
防災教育向け無料ARアプリ「CERD-AR」は、タブレット端末を持って画面上に道路を映していくことで、落石や浸水地域の情報が表示されます。地図上で確認するのではなく、自分の視点ではどのように映るのかがわかるのが画期的です。主に防災訓練として活用されており、小中学校から各社の防災訓練に役立っているとのことです。
このアプリはオープンライセンスなので、CIM用のカスタマイズを経て建設業で役立てると聞きました。AR表示機能の道路閉塞や土砂崩れといった災害情報は、設計前の現場調査や施工時にも役立つと思います。一方で、アプリのカスタマイズの際にはプログラミング等の技術が必要になるため、手軽に取り入れるのは難しいかもしれません。
「ARで、こういった情報が現地で見られたら良いな」という考えから、各社で開発が盛んに行われたらと思いました。
今回は「BIM/CIM講演会」の内容の一部を紹介しましたが、幅広く色々なことが学べて良い機会でした。是非また受講し、土木に関わる最新情報や取り組みなどを定期的に取り入れたいです。また、オンライン講座も時間を設けて積極的に参加し、業務効率化や幅を広げるようにしたいと思います。
みなさんも忙しい中セミナー等を受講するのは難しいかもしれませんが、多くの発見が得られる良い機会につながります。短時間でもまずは受講してみるのがおすすめです。
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