今回は構造物撤去工事において、過積載防止の観点から、私が注意を払っている点を紹介したいと思います。まず、私が主に経験している撤去工事は、
となります。市街地または、住宅沿線での工事となると、撤去工事が必ず計上されており、最初に行う工事でもあります。撤去工事において、過積載防止は最重点項目の一つです。当然ながら、過積載は法律違反行為であり、自身のダンプトラック等の運転だけでなく、通行道路、更には環境にも影響を及ぼす、大変危険な行為です。工事を円滑に進める為にも、過積載防止は当然であります。
私が、過積載防止を行う上で、心掛ける点は、
などが挙げられます。それぞれについて、説明したいと思います。
ダンプトラックには、最大積載量があります。例えば、10tダンプトラックの場合、最大積載量9.5t程度。4tダンプトラックの場合、最大積載量3.7t程度でしょうか。車種やメーカーによって異なるので、車検証などで事前に確認しておく必要があります。その積載量を超過しないように積載しなければなりません。撤去工事において、既設構造物の重量を算出し、過積載防止を行います。
実際の計算方法ですが、アスファルト舗装の場合、
撤去積載量=アスファルト面積×厚さ×比重2.4 |
という具合に算出するようにしています。
比重を2.4で設定しているのは、撤去時にはアスファルト以外に、路盤材なども混入する可能性があることと、計算結果が安全側になるようにするためです。(舗設時にはアスファルト比重は2.3で計算します。参考:「過不足なくアスファルト舗装合材を取るための知識(舗装合材の重量の計算方法とプラントへの搬入までの流れ)」)
例えば、10tダンプトラックで最大積載量9.5t、アスファルト撤去の厚さが平均5.0㎝の場合
撤去積載量9.5t=アスファルト面積×厚さ0.05m×比重2.4 |
となり、アスファルト面積=約79㎡となります。
よって、「この10tダンプトラックは、1台当たり79㎡まで積込み可能。」となる訳です。
舗装幅員を測定すれば、撤去延長が決定します。例えば、先ほどのアスファルト面積79㎡、舗装幅員5mの場合、撤去延長=79㎡/5m=15.8mとなり、「大体延長16m程度で、最大積載量。」と判断しながら撤去工事を進めるのが良いのではないでしょうか。
実際の作業として、ダンプトラック1台目完了の目安として、下写真の様なマーキングを行い、過積載防止対策を行っています。
また、コンクリート構造物の場合、無筋構造物と鉄筋構造物によっては、比重が異なります。
無筋コンクリート構造物=コンクリート体積×比重2.35 |
として算出しています。U型側溝など、体積算出がやや難しい構造物は、カタログ等に1.0m当たり重量、または断面積の明示があります。予め調べておくのも良いかと思われます。
上記1で積載量を決定し、産業廃棄物処分場にて計量した場合、計算した積載量と差異が生じます。原因として考えられるのは、舗装厚さの不定(均一化されていない)や、舗装版撤去の際に路盤砕石が付着したことなどが考えられます。この場合、上記1で算出した重量より少なくして積込むようにしています。
先ほどの撤去延長15.8mで例えると、14.0mで積込み完了とします。その場合、積載量は、
撤去積載量=幅員5.0m×撤去延長14.0m×厚さ0.05m×比重2.4=8.4t |
となり、最大積載量9.5tに対して1.0t程度の余裕が生じます。処分場での計量の結果、8.4tよりも少なければ、撤去延長を15.8mに近づけて積載したり、その反対に9.5tに近い計量結果であれば、延長を縮める等のダンプトラック1台ごとの調整を行いながら、積載量を算出するようにしています。そのため、特に搬出のスタート時は、ぎりぎりの重量を狙うのではなく、ある程度余裕をもった積載重量を設定しておくことが賢明です。
それでも、更に正確な積載量が必要な場合、工事現場内において重量計を設置し、積載量の明確化を図るようにしています。実際、私が使用したことがある重量計を以下に列挙します。
これは、上写真のように、クレーンフック部に荷重表示計を取付けることにより、現場内において積載量を計測するようにしました。
トラックスケールは簡易的な台貫であり、ダンプトラックのタイヤ幅に合わせて設置し、そのタイヤの輪荷重により積載量を計量するものです。
これらの表示計は処分場における積載量とほとんど差異が生じません。正確な積載量が必要な場合は、上記1、2のように計算、算出するよりも大変良いのではないかと思われます。
また、1~3を行う前には、発注者と事前に搬出に関する計画を打ち合わせておくことが非常に重要です。あとでトラブルにならないためにも、事前の綿密な計画とそれを情報共有しておくこと、その上で計画に基づいた管理を行うことが大切です。
以上が、私が過積載防止に対して、注意を払っている点を紹介しました。先ほども述べましたように、過積載は違反行為です。当工事だけでなく、発注者や関係機関に大変迷惑を掛けてしまう行為です。今後もしっかりした対策を取りたいと考えています。
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