週休2日制は、建設業界の深刻な人材不足、また次世代の担い手確保(入職者を増やす)を目的として建設工事でも導入され始め、今ではほぼ全ての公共工事で取り組むことになっています。
発注者によって休日の考え方に違いはありますが、「4週8休以上」「4週7休以上、4週8休未満」「4週6休以上、4週7休未満」の3つに分類され、労務費等に補正係数を乗じるものです。簡単に言うと「給料チョット増やすから休んでください。」という感じです。
しかし、“建設業界ではなかなか定着しない”、“元請け業者も協力(下請け)業者もあまり取り組みたがらない”など、業界全体として不安な先行きです。
週休2日制が定着しない理由には、施工管理の仕事ならではの複数の要因が考えられます。
建設業の多くの作業員・現場監督は、ほとんどが日当月給であり、週休2日になると収入が大きく減ります。
例えば作業員の日当を13,000円とすると、週休2日実施前と比べて一月あたり4日休みが増えるので、単純に13,000×4日=52,000円減るのです。
「補正の係数を乗じているから大丈夫だろ?」というのが発注者の考えみたいですが、発注者→受注者→協力業者→作業員とお金が流れていくため、末端の作業員の給料に反映されているかは不透明です。
協力業者も人材不足で作業員が不足しています。週休2日制で作業日が減ると、1つの現場にかかる日数が増えます。そうすると、“工事を請けたくても完成できないから請けられない”という状況に陥るため、協力業者を探すのにも苦労します。
私は過去に、「労務費の補正はいらないから、土曜日に作業させてくれ」、「土曜日に作業ができるのであれば受ける」などと協力業者に言われたことがあります。
土木工事は天候により作業を中止することがあります。週休2日制と人材不足により、やむなく作業日を増やす対応をすると、結果工程を圧迫することになります。
「4週8休(完全週休2日)」は無理でも「4週7休や4週6休」に落とした場合、協力業者に平等に作業日を分けるのが難しくなります。
作業内容や請負金額など、分ける方法は色々ありますが、最初から割り振りはできません。なぜなら工期の序盤・中盤・終盤など、協力業者が作業をする時期や季節によって差が出るためです。
例えば、序盤は工期に余裕があるから休みで、終盤は工期に余裕がないため作業をするとします。これでは、最初にいる業者と後から入った業者で差がでるため不平等となってしまいます。
最近は、熟練者と同じように施工ができるICT機器を使って人材不足を解決しようとしています。この技術はかなり革新的で、私自身も初めて見た時は「すごい時代になった」と感動したのを鮮烈に覚えています。確かにこの技術が一般化すれば、人材不足を解消し、週休2日も可能かもしれません。
しかし、このICT機器は導入費用が高く、ICT対応現場をどのくらい落札できるかがわからない中、小さな企業では導入できません。その上、まだ一部の工種しか使えないので、業界全体の人材不足をいきなり解決できるものではありません。
工法変更や追加工事による変更など様々な変更がありますが、基本的に工期延期はありません。「間に合わせろ」が暗黙のルールのため、工期が圧迫します。また、入札時点で工期的に厳しい物も数多く存在します 。
建設業は、「4週7休や4週6休」なら何とか対応できますが、天候などの自然を相手に仕事をするため完全週休2日は厳しいです。工期や収入を犠牲にして、安くて疲れる仕事に入職者が増えるとは思えないし、工期の圧迫が原因で事故も増えると思います。
昔は「3K、だから給与が良い」と言っていましたが、週休2日で今や【危険】・【きつい】・【汚い】に加えて【給与安い】の4Kになっています。
結果として工事現場では、給与・人員の課題を解決するために、外国人就労者に頼っているのが現状です。週休2日制度本来の狙いが、業界全体を苦しめている気がするし、逆に離職率も上がっていると思います。
また、担い手を増やすと言っていますが、実際土木系の高校や専門学校、大学の学生が減少して学科をなくしているところも多くあります。週休2日を進める前に、もっと建設業の世間的なイメージを変えて志す人を増やす活動をすべきだと思います。