公共工事、特に国発注の工事は近年、ICT受注型や施工者希望型で発注されています。これに伴い、施工会社が2次元図面を3D化する機会が増えていますが、実際はハードルが高く、協力会社に3Dモデリングを頼むケースが多いです。しかし協力会社に依頼するにもコストが嵩むため、自社で行うことが求められ始めています。
そこで今回は、私が行ったICT施工の3Dモデリング・設計について紹介します。
大まかには上記のような流れになります。
従来の施工とICT施工を比べた時に、施工業者が大きく変わるのが「3次元設計データの作成」になると思います。3DモデルはBHなどの重機をコントロールするために必ず必要となり、モデリングするソフトも数多く出ています。図面から位置を計算して丁張をかけていた作業部分がモデリングに代わることで、施工業者はこれまでとは違う技術が求められるようになりました。
私は、3年前に護岸工事でICT施工を行いました。当時はまだICT施工を行った施工業者が少なく、手探りの状態だったため、UAVの起工測量からMCのBHまで協力業者にお願いをしていました。最近ではICT施工の実績が増えたことや、3Dモデリングソフトが普及してきたことから、施工業者が起工測量から3D設計、施工、納品まで自社で行うことが多くなってきました。
道路土工や河川土工の場合、3D化は平面図・縦断面図・横断図から行います。法線を作成し、縦断面図より縦断要素を計算、各測点の横断面図より要素を抽出し構成するという流れです。
3Dモデリングソフトは様々ありますが、私が使ったことのあるソフトを紹介します。
ICT施工を行う際に3Dモデリングをしている協力会社に聞いたところ、このソフトを使っている方は多いようです。図面をなぞりながら作るため、直感的な操作がしやすいことや、3断面からモデリングできるので汎用性が高いです。
このソフトは、土木に特化している印象です。平面図縦断面図・横断面図がしっかりとしていれば、モデリングはしやすいと思います。操作は慣れないと難しいところはありますが、サポートに電話しながら作業すれば問題ないですし、私も実際に最初は教えてもらいながら作業してきました。
会社によっては、基盤ソフトウェアとの互換性もありますので、それらを考慮しながら使っていくといいと思います。
モデリングの注意点は、横断図をそのまま映すのではなく“現場に即した線を描く必要があること”です。照査の段階で「横断図が正しいのか」、「縦断面図の計画高はあっているのか」などについて確かめないと、施工する際に誤った位置から切ってしまうことや過掘りをしてしまうこともあります。3D化したときに、ゆがんでいたり、線がつながっていなかったりする時は間違いがあるのでチェックしましょう。
実際にモデリングをすると難しいですし、BHに入れて動くまではとても不安になります。しかし、今後は必ず施工者に対して3Dデータを扱う技術が求められてきます。発注のデータが最初から3Dとなることもあるでしょう。その時ためにも、今から勉強してく必要があると思います。社内であまりできる人がいない時にできるようになると頼られますし、少し優越感に浸れます。ぜひ3Dモデリングにチャレンジしてみてください。
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