建設業に関わりがない人は、建設コンサルタントと言われてもピンと来ないと思います。建設コンサルタントは主に社会資本の整備に関する調査・計画・設計を行い、国や地方公共団体などを支援する役割を担っています。
今回は、約5年間建設コンサルタントで都市公園の計画や設計を担当していた筆者が、建設コンサルタント社員のリアルな一日を紹介します。なお、筆者の体験を基にしているため、会社の規模や担当する業務によってタイムスケジュールは全く異なることにご留意ください。
建設コンサルタントは主に公共構造物の調査・計画・設計を行う会社であるため、机上での検討作業が多く、社内で一日を過ごすことが多いです。今回は、設計業務を担当している時の繁忙期(1~3月)の一日のタイムスケジュールをご紹介します。
納期が近づいているため、協力会社と最終的な設計条件や未確定事項について電話で詰めていきます。
協力会社や発注者との打合せ結果を基に設計条件や未確定事項の検討をします。業務を担当するチームメンバーや豊富な経験を持つ先輩技術者と話し合ったり、基準書を熟読したりしながら条件を決定していきます。
決定した条件を基に作成中の図面や計算書を修正します。
近くのコンビニや弁当屋で購入したものをかきこんで昼寝します。
午前中の作業とは別の業務の作業に移行し、基準書を読みながら構造計算に必要な条件を決めていきます。
整理した計算条件を基に、専用の計算ソフトを用いて構造計算をします。計算の種類によって使うソフトの種類も違うため、ソフトの使い方が分からず四苦八苦することも多々あります。
帰るのが遅くなりそうなので、お菓子やおにぎりを食べて過ごします。
残業で、近々予定している発注者との打合せのための資料を作ります。打合せで重要なことが決まるため、資料作成にはこだわります。
帰宅したら即寝です。
事務職や営業職を除く建設コンサルタント社員が外出をするのは、打合せか現地調査のどちらかの場合が多いです。どのような業務でも基本的には発注者との打合せと現場調査を行う必要があります。現場調査は、業務の対象場所に赴いて計測したり、写真を撮ったりします。打合せは、発注者の元に赴いて作成した資料を基に発注者と設計の条件をすり合わせたり、業務の進捗状況を伝えたりします。今回は、閑散期(4~7月)で打合せと現場調査を同日に行う日のスケジュールをご紹介します。
打合せの開始時刻が10時からなので、現地に直行します。
打合せでは、設計条件や確認事項を詰めます。業務内容や発注者によって、1時間かからず終わる時もあれば3時間以上かかる時もあります。
普段外出する機会があまりないため、ここぞとばかりに現地の名物料理を探して食べます。
業務の対象場所に行き、写真を撮ったり、構造物の寸法を測ったり、ポイントとなる条件を確認して記録します。現地調査の内容は業務の内容によって様々ですが、元請けの場合は協力会社の人と一緒に現場を回ったり、写真撮影や寸法計測をしたりして、短い時間で簡単な作業をして終える場合が多いです。
半日歩き回ってヘトヘトなので、そのまま帰ってゆっくり体を休めます。繁忙期や打合せが迫っている時は会社に戻り、残業します。
今回は、内勤と外出時の2パターンの建設コンサルタント社員の一日をご紹介しましたが、割合としては内勤の日が圧倒的に多く、基本的には朝から夜までパソコンに向かって仕事をします。想像より地味だと感じられた方もいるのではないでしょうか?
自身が設計を担当した構造物が形になり、「地図に残る」という輝かしい仕事ですが、実際の仕事内容は日々の地道な作業が中心です。設計した構造物が実際に形になるのは数年以上の月日がかかることがほとんどで、残業が多い点もあいまって、思っていた仕事と違うと感じてしまう人も多いです。しかし、設計したモノが出来上がった時や多くの人が利用している光景を実際に見た時の達成感は何物にも代えがたく、それまでの苦労がなかったことのように感じることもあります。
建設コンサルタントの認知度はまだ低いですが、私たちが日々利用しているインフラの多くは建設コンサルタントが設計しています。この記事を読んで、少しでも建設コンサルタントを身近に感じていただければ嬉しいです。
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